22. 製造業務集約後の赤血球製剤の大量使用事例とその対応

【目的】秋田センターは2011年5月24日より製造業務を宮城センターへ集約し, 供給する赤血球製剤(RCC)は毎日の在庫補充で確保している. 今回, 製造集約後, 胸部大動脈瘤破裂によるB型RCCの大量使用事例を経験した. そこでその対応の経緯と大量受注に対する今後の課題について検討した. 【経緯】当日朝のB型繰越在庫は142u(適正在庫130uの109%)であった. 既に複数の医療機関の受注で40uを出庫し, かつ緊急持出血として50u持出しており, 11時でセンターには52uの在庫であった. 15時25分胸部大動脈瘤破裂の緊急手術によるB型RCC40uを受注, 持出血より14u, センター...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 58; no. 1; p. 72
Main Authors 齋藤貴仁, 寺田亨, 越後谷智, 斉藤育代, 阿部真, 佐々木芳明, 面川進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2012
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ISSN1881-3011

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Summary:【目的】秋田センターは2011年5月24日より製造業務を宮城センターへ集約し, 供給する赤血球製剤(RCC)は毎日の在庫補充で確保している. 今回, 製造集約後, 胸部大動脈瘤破裂によるB型RCCの大量使用事例を経験した. そこでその対応の経緯と大量受注に対する今後の課題について検討した. 【経緯】当日朝のB型繰越在庫は142u(適正在庫130uの109%)であった. 既に複数の医療機関の受注で40uを出庫し, かつ緊急持出血として50u持出しており, 11時でセンターには52uの在庫であった. 15時25分胸部大動脈瘤破裂の緊急手術によるB型RCC40uを受注, 持出血より14u, センターから26uを出庫, 一時的にセンター在庫が18uまで減少した. 2時間後の17時35分野定期便でB型在庫は165u, 127%に回復した. 【考察】受注通り遅延なく納品を完了したが, 出庫後B型RCC在庫が18uまで減少, 術中追加も予想され, 定期便到着まで不安に駆られた. 製造集約を行っていても検査が終了していなければ在庫として使用できないので, 状況は同様と思われた. 今後の対応として, 朝9時の時点で適正在庫の120%を割る場合は, 昼到着便での在庫補充を考慮することや, 持出血制限等の対応も必要と考えられた. 【まとめ】本事例の経験から, 緊急時の安定供給の重要性を再認識した. 血液製剤の安定確保・安定供給は, 集約後も引き続き医療機関にお応えしなければならない. 今後は, 医療機関から大量使用情報等を入手すること, また安定供給の面で現在の適正在庫数の再考も必要と思われた.
ISSN:1881-3011