9. 血小板減少に輸血不応状態を合併しボルテゾミブが有効であった1例

非分泌型多発性骨髄腫の経過観察中に急速な血小板減少をきたし血小板輸血不応のため免疫学的血小板減少と推定しヘリコバクター・ピロリ除菌, ステロイド, ボルテゾミブ投与にて血小板回復をみた症例を経験したので報告する. 症例は60歳男性. 2007年前医にて非分泌型多発性骨髄腫の診断をうけ, VAD療法, サリドマイド, ボルテゾミブ投与を実施後部分寛解であった. 当院紹介うけた後, 経過観察中の3月上旬に23.8万/μlであった血小板が4月中旬には1000/μlと急速にかつ著明な減少を認めた. 骨髄検査にて形質細胞は20%と増加しており多発性骨髄腫増悪による血小板減少も考慮されたが, 血小板輸血不...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 57; no. 1; pp. 58 - 59
Main Authors 根来英樹, 吉田明, 木野戸えみ, 山内高弘, 浦崎芳正, 上田孝典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2011
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ISSN1881-3011

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Summary:非分泌型多発性骨髄腫の経過観察中に急速な血小板減少をきたし血小板輸血不応のため免疫学的血小板減少と推定しヘリコバクター・ピロリ除菌, ステロイド, ボルテゾミブ投与にて血小板回復をみた症例を経験したので報告する. 症例は60歳男性. 2007年前医にて非分泌型多発性骨髄腫の診断をうけ, VAD療法, サリドマイド, ボルテゾミブ投与を実施後部分寛解であった. 当院紹介うけた後, 経過観察中の3月上旬に23.8万/μlであった血小板が4月中旬には1000/μlと急速にかつ著明な減少を認めた. 骨髄検査にて形質細胞は20%と増加しており多発性骨髄腫増悪による血小板減少も考慮されたが, 血小板輸血不応であることから免疫学的機序による血小板減少であると判断しステロイドの投与を開始した. 併せてヘリコバクター・ピロリ除菌も行った. その後1ヶ月間プレドニゾロン1mg/kgの継続投与を行ったが血小板は6万/μl前後の回復にとどまった. 治療開始1ヶ月を経過したためプレドニゾロンの減量を始めると同時に多発性骨髄腫の治療としてボルテゾミブ投与を行ったところ血小板減少はみられず, むしろ17万/μlと著明な血小板回復がみられた. 本症例においてはボルテゾミブによる血小板増加効果があった可能性を考えている.
ISSN:1881-3011