1. ABO亜型B3型にみられた新たなB型遺伝子について
【目的】今回我々は, 献血者における日常的なABO型血清的検査においてABO亜型(B3型)と判定された検体について, 血清学的精査に加え遺伝子検査を行い新たなB型遺伝子を見出したので報告する. 【方法】血清学的検査は定法に従って行い, A抗原およびB抗原の発現量は, フローサイトメーターにより確認した. また, ABO型遺伝子解析では, ABO型遺伝子のエクソン6および7についてDNAシークエンサーを用い塩基配列を調べた. 【結果】本事例は血清学的ABO型オモテ検査:B, ウラ検査:Bであったが, オモテ検査において動免及び各種モノクローナル抗B抗体にて部分凝集が認められB亜型が疑われた. ま...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 56; no. 3; p. 417 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2010
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Summary: | 【目的】今回我々は, 献血者における日常的なABO型血清的検査においてABO亜型(B3型)と判定された検体について, 血清学的精査に加え遺伝子検査を行い新たなB型遺伝子を見出したので報告する. 【方法】血清学的検査は定法に従って行い, A抗原およびB抗原の発現量は, フローサイトメーターにより確認した. また, ABO型遺伝子解析では, ABO型遺伝子のエクソン6および7についてDNAシークエンサーを用い塩基配列を調べた. 【結果】本事例は血清学的ABO型オモテ検査:B, ウラ検査:Bであったが, オモテ検査において動免及び各種モノクローナル抗B抗体にて部分凝集が認められB亜型が疑われた. また, AおよびB型転移酵素活性は検出限界以下であった. フローサイトメトリー法を用い血球上のB型抗原の抗原量を確認したところ, 通常のB型血球およびAB型血球に比べB型抗原量が少ないことが推察された. 一方, 遺伝子解析において, 遺伝型はB/O型でありB型遺伝子上の722番目にG→C(Arg241Pro)の置換が認められた. 【結論】今回我々は, ABO亜型B3型と判定された検体において新たなB型遺伝子を見出した. 同様の糖転移酵素のアミノ酸変異(Arg241Trp(C721T))がOlssonらによりBw型として報告されており, 本事例における同アミノ酸の変異は糖転移酵素活性に影響を与え, 類似したB亜型を示したものと推測された. |
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ISSN: | 1881-3011 |