8. 当院におけるO型緊急輸血と輸血療法委員会の関わり
【目的】「輸血療法の実施に関する指針」では, 出血性ショックなどで超緊急輸血が必要でABO血液型判定の時間的余裕がない, もしくは同型同種血不足などの場合に緊急処置としてのO型赤血球輸血を行うことが認められている. また平成19年4月には「危機的出血への対応ガイドライン」が制定された. 当院でも危機的出血への備えとして, 特に救急搬送されてくる血液型不明患者を意識した超緊急時におけるO型赤血球輸血の適応, 実施手順, 説明と同意書, 輸血後検証用紙を平成19年に作成した. 作成から2年が経過し6例の超緊急輸血事例を経験した. そこで当院での超緊急輸血手順が実際面でどのように機能し, また輸血療...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 56; no. 3; p. 406 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2010
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Summary: | 【目的】「輸血療法の実施に関する指針」では, 出血性ショックなどで超緊急輸血が必要でABO血液型判定の時間的余裕がない, もしくは同型同種血不足などの場合に緊急処置としてのO型赤血球輸血を行うことが認められている. また平成19年4月には「危機的出血への対応ガイドライン」が制定された. 当院でも危機的出血への備えとして, 特に救急搬送されてくる血液型不明患者を意識した超緊急時におけるO型赤血球輸血の適応, 実施手順, 説明と同意書, 輸血後検証用紙を平成19年に作成した. 作成から2年が経過し6例の超緊急輸血事例を経験した. そこで当院での超緊急輸血手順が実際面でどのように機能し, また輸血療法委員会がどのように関わったかを報告する. 【結果】平成20年1月から平成21年12月までの2年間で超緊急輸血対応となった症例は6例, そのうち血液型不明でO型赤血球輸血対応した症例は4例であった. 転帰は独歩・退院となった症例が1例, 5例が死亡退院であった. 【考察・まとめ】輸血依頼から実施までの所要時間は10分以内であったことから超緊急輸血手順は実際面で機能しえたと判断する. また当院では超緊急輸血対応症例は事後に検証用紙の提出を義務付けている. 検証用紙には来院時の状態や, 超緊急輸血適応と判断した理由等を記入する欄を設けており, 輸血療法委員会ではこの検証用紙に基づき症例検討を行い, 第三者評価を行う事で症例の共有や適正使用の検証に役立てている. |
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ISSN: | 1881-3011 |