SY4-3. 3)安全な輸血にかかわる輸血検査技師の役割

輸血部門における検査技師の主な業務は, 安全な輸血を行うための血液型検査や交差適合試験などの輸血検査, 血液製剤や自己血の適切な管理・保管などがある. また, 輸血療法委員会や院内の会議に参加し, 院内の輸血医療とその安全について関与していくことが求められている. 現在, 多くの医療機関で電子カルテやコンピューターシステムが導入され, バーコードを利用したハード面の安全管理が進んでいる. 輸血検査においても自動輸血検査機器と輸血システムを組み合わせて, バーコード運用により人為的過誤を予防する検査体制が構築されている. もちろん, 自動輸血検査機器の導入だけでなく機器の整備・QC・試薬の管理は...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 4; p. 471
Main Author 山田尚友
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2009
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ISSN1881-3011

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Summary:輸血部門における検査技師の主な業務は, 安全な輸血を行うための血液型検査や交差適合試験などの輸血検査, 血液製剤や自己血の適切な管理・保管などがある. また, 輸血療法委員会や院内の会議に参加し, 院内の輸血医療とその安全について関与していくことが求められている. 現在, 多くの医療機関で電子カルテやコンピューターシステムが導入され, バーコードを利用したハード面の安全管理が進んでいる. 輸血検査においても自動輸血検査機器と輸血システムを組み合わせて, バーコード運用により人為的過誤を予防する検査体制が構築されている. もちろん, 自動輸血検査機器の導入だけでなく機器の整備・QC・試薬の管理は十分行われなくてはならない. また, 輸血システムを構築するうえで, 誤作動がないか必ず検証が必要である. 血液製剤の保管管理は, 警報機や温度記録計が付いている専用の冷蔵庫・冷凍庫が整備され適切な温度管理が行われており, 24時間監視体制がとられている. 輸血検査技師においては, 自動輸血検査機器や輸血システムばかりに頼っていないで, 検査で異常反応を認めた場合は速やかに原因を究明し輸血による副作用の予防につとめなくてはならない. そのためには, 知識や技術を身につけておく必要がある. 輸血療法委員会において検査技師の役割は, 各診療科の血液製剤使用量などの統計資料の作成, 国や血液センターからの情報を提供, 輸血インシデント解析のための情報収集など行い委員会をサポートすることにより院内の輸血療法に関する管理体制に貢献できると考える. 輸血検査技師は検査室に閉じこもっていないで, 院内輸血医療の安全性を保つために, 血液製剤を使用する部門とコミュニケーションをとることが必要である.
ISSN:1881-3011