4. クームスカセット法で陽性を呈し, ブロメリン法(カラム法)および間接抗グロブリン(用手法)で陰性であった1症例―異常反応におけるカラム法の特性と各メーカーの対応

【はじめに】輸血検査において異常反応を呈した場合, 如何に早く効率的に原因究明を行うかが肝要である. 今回, 我々は輸血目的の不規則抗体検査および交差適合試験(RCC-LR)にて間接抗グロブリン法(クームスカセット法)が陽性を呈し, ブロメリン法(カセット法), 間接抗グロブリン法(試験管法)で陰性であった症例を経験したので報告する. 【症例】61歳女性, 20年程前リュウマチ発症, 10年程前よりアミロイドーシス, 腎機能悪化, 今年1月より透析開始となる. 入院時所見の末梢血検査でWRC 7030/μl, RBC 257×104/μl, Hb 7.6g/dl, Ht 23.8%と重度の貧血...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 1; pp. 95 - 96
Main Authors 永重政人, 山田敏子, 住吉和子, 澤田夏美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2009
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ISSN1881-3011

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Summary:【はじめに】輸血検査において異常反応を呈した場合, 如何に早く効率的に原因究明を行うかが肝要である. 今回, 我々は輸血目的の不規則抗体検査および交差適合試験(RCC-LR)にて間接抗グロブリン法(クームスカセット法)が陽性を呈し, ブロメリン法(カセット法), 間接抗グロブリン法(試験管法)で陰性であった症例を経験したので報告する. 【症例】61歳女性, 20年程前リュウマチ発症, 10年程前よりアミロイドーシス, 腎機能悪化, 今年1月より透析開始となる. 入院時所見の末梢血検査でWRC 7030/μl, RBC 257×104/μl, Hb 7.6g/dl, Ht 23.8%と重度の貧血を認めた. 生化学検査結果で肝機能は, ほぼ正常. 脂質検査は, TCH 415mg/dl, TG 209mg/dl, LDL 288mg/dlと異常高値腎機能は, BUN 54.6mg/dl, CRN 7.1mg/dl, UA 6.8mg/dl, リウマチ検査では, RA-RF 147IU/ml, MMP3 231.0ng/ml, 血清アミロイドA蛋白60.1μg/mlと何れも異常高値を示した. 血液型はO型RhD陽性, 不規則抗体の結果はブロメリン法(カラム)で自己対照を含め, すべて陰性. 間接グロブリン法(多特異クームスカセット・オーソ)で自己対照を含めすべて3+の陽性. IgGカセット(オーソ)では自己を含めすべてに1+であった. パネルAの反応も自己対照を含め11cellすべて3+の陽性であった. 特異性のない自己抗体を疑い直接抗グロブリン試験を行った結果, 多特異, IgG, C3b・C3dすべてに陰性であった. 高分子化合物, 異常タンパク質の影響が考えられたため, 洗浄操作の入る試験管法, イムコア社のechoを用いた不規則抗体スクリーニングを行った. 試験管法では間接抗グロブリン試験(PEG-IAT), ブロメリン法の双方とも自己対照を含めすべて陰性となった. イムコア社のechoによる抗体スクリーニングも陰性であった. また, オリンパス社のカラム法の間接抗グロブリン法ではスクリーニング, パネルによる同定, 双方とも自己対照を含めすべて陰性であった. 【まとめ】今回の異常反応は当初, 自己抗体, カラム法の特徴である無洗浄の影響, 高分子化合物, 異常タンパク影響など多々考えられ確認作業のためかなりの時間を費やした. 今回の場合のように試薬に原因が起因する場合, 1医療機関では限界があるため各メーカーとの協力関係が重要と感じた.
ISSN:1881-3011