7. 同種造血幹細胞移植におけるFcガンマレセプターIIIa(FCGRIIIa)遺伝子多型解析の意義
【目的】FcガンマレセプターIIIa(FCGRIIIa)は遺伝子多型があり, 158V/V型は, 158V/F型・158F/F型よりADCC誘導能が高い. FCGRIIIa多型の同種造血幹細胞移植成績への影響を検討した. 【方法】対象は同種造血幹細胞移植患者49名とドナー. 健常対象は22名. FCGRIIIa多型は, 多型特異プライマーでPCR増幅し決定した. 【結果】健常人のFCGRIIIa多型頻度は, 158V/V14%, 158V/F45%, 158F/F41%であった. 患者が158V/Vを有する群(H患者), ドナーが有する群(Hドナー), 患者が158V/Fか158F/Fを有する...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 55; no. 1; p. 77 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2009
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 【目的】FcガンマレセプターIIIa(FCGRIIIa)は遺伝子多型があり, 158V/V型は, 158V/F型・158F/F型よりADCC誘導能が高い. FCGRIIIa多型の同種造血幹細胞移植成績への影響を検討した. 【方法】対象は同種造血幹細胞移植患者49名とドナー. 健常対象は22名. FCGRIIIa多型は, 多型特異プライマーでPCR増幅し決定した. 【結果】健常人のFCGRIIIa多型頻度は, 158V/V14%, 158V/F45%, 158F/F41%であった. 患者が158V/Vを有する群(H患者), ドナーが有する群(Hドナー), 患者が158V/Fか158F/Fを有する群(L患者), ドナーが有する群(Lドナー)の移植成績を比較した. 生存率は, Hドナー・L患者で高い傾向がみられた. 重症急性GVHD発症率は各群で差はなかったが, 慢性GVHD発症率は, Hドナー・L患者で高かった. 多変量解析でも確認した. 【考察】高ADCCドナーからの移植で高い生存率を示した要因として, ADCC活性増強とそれに伴う抗腫瘍効果増強・致死的感染症の低下, 軽症慢性GVHD発症に伴う再発率の低下が考えられた. 【結語】移植成績向上には高ADCCドナーの選択が望ましい. また, 高ADCC患者は有害事象に備えた適切な防御策が必要と考えられた. |
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ISSN: | 1881-3011 |