16. ABO血液型オモテ試験において部分凝集を示した1症例

【はじめに】 血液型検査において部分凝集(mixed-field)を示す原因は, 亜型, 異型輸血, キメラ・モザイク, 異型造血幹細胞移植などが考えられる. その他に新生児のA・B抗原発達不十分, 白血病によるA・B抗原減弱などがある. 今回我々はABO式血液型検査のオモテ試験の抗A血清において部分凝集を示した症例を経験したので報告する. 【症例】 67歳男性, 白血球増多, 血小板減少を指摘され他院より紹介される. 試験管法による血液型検査でオモテ試験抗A血清(2+mf)抗B血清(0)ウラ試験, A血球(0)B血球(4+)A1レクチン(1+mf)Hレクチン(4+)抗D血清(4+)Al血球に...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 54; no. 6; p. 668
Main Authors 領家敬子, 糸賀真人, 佐藤千恵子, 園山京子, 吾郷浩厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2008
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ISSN1881-3011

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Summary:【はじめに】 血液型検査において部分凝集(mixed-field)を示す原因は, 亜型, 異型輸血, キメラ・モザイク, 異型造血幹細胞移植などが考えられる. その他に新生児のA・B抗原発達不十分, 白血病によるA・B抗原減弱などがある. 今回我々はABO式血液型検査のオモテ試験の抗A血清において部分凝集を示した症例を経験したので報告する. 【症例】 67歳男性, 白血球増多, 血小板減少を指摘され他院より紹介される. 試験管法による血液型検査でオモテ試験抗A血清(2+mf)抗B血清(0)ウラ試験, A血球(0)B血球(4+)A1レクチン(1+mf)Hレクチン(4+)抗D血清(4+)Al血球による間接抗グロブリン試験(陰性)抗Aに対する被凝集素価(64倍)血清中の型物質(本試験64倍 対照512倍)その他の血液型ではすべて部分凝集はみられなかった. 【考察】 輸血歴, 造血島細胞移植歴はなく, 当院での検査結果より急性骨髄性白血病(FAB M1)と診断され, 病態に起因する抗原減弱による部分凝集が考えられた. その後, 抗A1抗体を保有していないためA型の血液製剤を輸血し, 治療に並行して抗A血清との凝集も強くなりまた非凝集部分が少なくなった. しかし2008.4.15~2008.6.30まで計18単位の赤血球製剤と140単位の濃厚血小板を輸血しており反応態度が患者由来の赤血球によるものか製剤由来によるものか判断が困難であり, また寛解後に於いても部分凝集がみられる事から今後経時的に観察するとともに, 病態や輸血による影響が無くなってから, 亜型も含めて再度血液型の検査の必要があると思われる.
ISSN:1881-3011