1. 当院における輸血療法委員会の活動状況と今後の課題
【はじめに】 当院では厚生省『輸血療法の適正化に関するガイドライン』(平成元年)策定後, 平成9年11月に輸血療法委員会が設置された. 設置当初から現在に至るまでの活動状況と成果を検証し, 今後の課題を確認した. 【活動状況】 設置当初の事務局は管理部で開催は年1回程度(不定期)であった. 医療機能評価受審前より定例化し, 現在は事務局を検査部が担当し, 年6回・定期開催(今年度は偶数月第2木曜日)している. 毎回の議題としては輸血療法及び検査に関するマニュアルの作成, 各種血液製剤の使用状況, 輸血療法上の検討・周知事項, 適正使用に関する問題点, 血液センター情報の周知等である. 今年度は...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 54; no. 6; p. 655 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2008
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 【はじめに】 当院では厚生省『輸血療法の適正化に関するガイドライン』(平成元年)策定後, 平成9年11月に輸血療法委員会が設置された. 設置当初から現在に至るまでの活動状況と成果を検証し, 今後の課題を確認した. 【活動状況】 設置当初の事務局は管理部で開催は年1回程度(不定期)であった. 医療機能評価受審前より定例化し, 現在は事務局を検査部が担当し, 年6回・定期開催(今年度は偶数月第2木曜日)している. 毎回の議題としては輸血療法及び検査に関するマニュアルの作成, 各種血液製剤の使用状況, 輸血療法上の検討・周知事項, 適正使用に関する問題点, 血液センター情報の周知等である. 今年度は1月より導入した電子カルテ関連に関する検討事項を毎回取り上げている. 【成果】 (1)血液製剤保管管理マニュアル・輸血に関する説明と同意書の作成 (2)血液製剤の取り扱いに関する確認及び周知・病棟払出の制限・血液製剤在庫数の見直し⇒血液製剤廃棄率の削減(赤血球製剤廃棄率:平成10年度9.0%→19年度0.4%・廃棄製剤総額:平成10年度約348万円→19年度約50万円) (3)FFPの使用状況及び検査値の確認・適正使用基準の提示⇒FFP使用量の削減(平成10年度約3600単位→19年度約2200単位) (4)外来輸血の開始(平成10年患者の要望により検討後実現せず→平成18年11月委員会メンバーからの要望を受け, 輸血責任医師を中心に検討, 19年5月より外来輸血開始となった) (5)“輸血ニュース”第1号(20年4月)の発行:輸血血液製剤の適正使用推進及び情報の共有のため (6)各診療科別使用状況・返品率の提示⇒各診療科の返品率が低下した. (産婦人科:平成16年度59.1%→19年度27.5%, 泌尿器科:平成16年度34.3%→19年度21.1%) (7)輸血管理料Iの取得(19年度:1700件・350万円) 【今後の課題】 (1)アルブミン製剤の適正使用推進:電子カルテ導入に伴い, アルブミン製剤の保管管理を開始したが, 今後は使用状況及び患者状況の確認・検査データのチェックを行い, 適正使用の推進につなげたい. (2)輸血療法マニュアルの作成:現行の輸血療法マニュアルは各部門の輸血関連マニュアルの寄せ集めを一覧としてまとめているため, 『危機的出血への対応ガイドライン』(19年制定)をふまえた輸血療法マニュアルを輸血療法委員会が中心となって作成する必要がある. (3)院内安全管理部門と協力し, 各部署の輸血療法に関する手順の統一化を図っていきたい. 【まとめ】設置当初から数年間はあまり機能していなかった輸血療法委員会であったが, 定例化した平成15年以降は成果を上げ, 輸血管理料Iの取得につながった. 今後も輸血責任医師とともに輸血検査部門が中心となって輸血療法の安全確保・適正使用を推進していきたい. |
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ISSN: | 1881-3011 |