2. 当院において検出された不規則抗体の検討結果―抗Bg抗体を中心に
赤血球抗原Bgに対する抗Bga抗体は, HLA-B7を認識するが, 赤血球表面でのHLA抗原表出は微量で, 輸血合併症を起こさないとされている. 当院では, 2000年4月より, 全自動輸血検査装置Auto Vueを用いた鋭敏な検査法を導入し, 以前の試験管法と比べ, より多くの不規則抗体を検出したと第39回本会で報告した. その後, 累積した検査結果でも, スクリーニング五万件余の中で, 1929件(3.49%)の高い抗体陽性を見出した. 抗体の種類別では, 以前の検討同様, 特に抗MNSs抗体の陽性率が高かった(17%). また, 従来の試験管法では検出されなかった抗Bg抗体を5例(0.0...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 54; no. 3; p. 444 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2008
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 赤血球抗原Bgに対する抗Bga抗体は, HLA-B7を認識するが, 赤血球表面でのHLA抗原表出は微量で, 輸血合併症を起こさないとされている. 当院では, 2000年4月より, 全自動輸血検査装置Auto Vueを用いた鋭敏な検査法を導入し, 以前の試験管法と比べ, より多くの不規則抗体を検出したと第39回本会で報告した. その後, 累積した検査結果でも, スクリーニング五万件余の中で, 1929件(3.49%)の高い抗体陽性を見出した. 抗体の種類別では, 以前の検討同様, 特に抗MNSs抗体の陽性率が高かった(17%). また, 従来の試験管法では検出されなかった抗Bg抗体を5例(0.01%, 検出抗体中0.26%)に見出した. この抗Bg抗体陽性症例について更に臨床的検討を行なった. その結果, 検出された5症例は, 男性1名, 女性4名で, 全て輸血, 妊娠などの感作既往があり, 輸血を行なった4名にはいずれの症例も輸血合併症が起きなかった. 今回の我々の検討により鋭敏な方法を用いれば, 抗Bg抗体は一部の妊婦. 被輸血者に出現することが見出された. 本抗体は検出困難で, 臨床的意義も少ないため従来は軽視されてきた. しかし, 本抗体は血小板不応などを起こす可能性があり, その臨床的意義の検討を更に推し進める必要があると考えられる. |
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ISSN: | 1881-3011 |