O-03. 臍帯血移植における赤血球分化成熟
造血幹細胞移植後の赤血球分化成熟過程を明らかにするため, 臍帯血移植後の胎生ヘモグロビン(HbF)・AB抗原量・Ii抗原量を解析した. 対象は臍帯血移植患者8名を含む同種移植患者13名. 臍帯血移植後HbFは著明に増加し, 100日をピークに減少へ転じた. 骨髄移植・末梢血幹細胞移植は, 移植前後を通じHbFはほとんど増加しなかった. 臍帯血移植後AB・Ii抗原量をみたところ, 移植直後はAB弱陽性i陽性赤血球(未分化型)の割合が高く, 200~300日かけ徐々にAB強陽性I陽性赤血球(成熟型)へ置き換わった. この現象は, 患者・ドナー間のABO適合・不適合を問わず一貫して認められた. 以上...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 54; no. 3; p. 432 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2008
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 造血幹細胞移植後の赤血球分化成熟過程を明らかにするため, 臍帯血移植後の胎生ヘモグロビン(HbF)・AB抗原量・Ii抗原量を解析した. 対象は臍帯血移植患者8名を含む同種移植患者13名. 臍帯血移植後HbFは著明に増加し, 100日をピークに減少へ転じた. 骨髄移植・末梢血幹細胞移植は, 移植前後を通じHbFはほとんど増加しなかった. 臍帯血移植後AB・Ii抗原量をみたところ, 移植直後はAB弱陽性i陽性赤血球(未分化型)の割合が高く, 200~300日かけ徐々にAB強陽性I陽性赤血球(成熟型)へ置き換わった. この現象は, 患者・ドナー間のABO適合・不適合を問わず一貫して認められた. 以上から, 臍帯血移植後は, 一定期間胎生期型赤血球造血が生じていると考えられた. |
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ISSN: | 1881-3011 |