4. 初流血除去の現状
輸血用血液製剤の細菌汚染を防ぐ方法には, 1)採血時に混入を防ぐ, 2)細菌の混入した製剤を検出・排除する, 3)細菌を増殖させない, 4)細菌を不活化するなどがあげられる. 輸血用血液製剤に混入する菌としては皮膚の常在菌が主体である. これらの菌の血液製剤への混入は穿刺部位の皮膚消毒を厳重にすることによって少なくすることはできるが完全ではない. 平成16年度の血液センターにおける抜き取り試験での陽性率は人赤血球濃厚液で約0.05%でありうち71%がPropionibacterium acnesであった. その原因の一つに消毒が困難な皮膚毛嚢を通過した穿刺や, 穿刺時に切り取られた小皮膚片のバ...
Saved in:
Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 6; pp. 643 - 644 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2007
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 輸血用血液製剤の細菌汚染を防ぐ方法には, 1)採血時に混入を防ぐ, 2)細菌の混入した製剤を検出・排除する, 3)細菌を増殖させない, 4)細菌を不活化するなどがあげられる. 輸血用血液製剤に混入する菌としては皮膚の常在菌が主体である. これらの菌の血液製剤への混入は穿刺部位の皮膚消毒を厳重にすることによって少なくすることはできるが完全ではない. 平成16年度の血液センターにおける抜き取り試験での陽性率は人赤血球濃厚液で約0.05%でありうち71%がPropionibacterium acnesであった. その原因の一つに消毒が困難な皮膚毛嚢を通過した穿刺や, 穿刺時に切り取られた小皮膚片のバッグへの混入が考えられている. このため日本赤十字社は平成18年度より初流血除去の導入を開始した. 初流血除去とは穿刺直後に流出する約25mLの血液を付属のバッグに採取し, その後に流出する血液を輸血用血液とする方法である. 血小板製剤については平成18年10月26日採血分から, 全血採血由来製剤については平成19年3月26日採血分から実施されている. 血漿製剤については平成19年10月より一部血液センターで実施されており血漿採血キットが整備され次第全国の血液センターで開始予定である. 採血時の初流血除去により, 皮膚常在菌及び皮膚常在菌が潜んでいる可能性のある皮膚片の混入を排除又は低減化できる. このことは皮膚常在菌の混入を完全に防止することはできないが有効期限内に臨床的に重大な症状を起こす菌量に達する可能性を減らすと考えられる. 血小板製剤は平成16年に白血球低減装置を導入し平成18年10月より初流血除去を開始していることから, 平成18年11月10日に製造販売承認事項の一部変更申請を行っている. 承認が得られれば有効期限を『採血後72時間以内』から『採血後4日間』に変更される見込みである(平成19年10月26日現在). 今回, より安全な血液製剤の提供が可能になった初流血除去の実際について報告する. |
---|---|
ISSN: | 1881-3011 |