4. 当院における院内調整洗浄血小板の使用経験
【はじめに】ACD-A加生理食塩液で血漿を置換する院内調整洗浄血小板(以下WPC)輸血について報告する. 【対象と方法】過去4年半に血小板輸血でアナフィラキシー等の重篤な副作用が発生し, 前処置にて予防できなかった症例を対象とした. 濃厚血小板にACD生食(ACD-A液80mL+生理食塩液500mL)を等量加え遠心後上清を除き, 200mLのACD生食を加えWPCとして, 調整後1時間以内に投与した. 【結果】5症例のべ168回のWPC輸血を行った. 洗浄前の1バッグあたりの血小板総数は3.46±0.57×10 11, 洗浄後は2.88±0.49×10 11であった. 洗浄には75.5±80....
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 6; pp. 628 - 629 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血・細胞治療学会
2007
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 【はじめに】ACD-A加生理食塩液で血漿を置換する院内調整洗浄血小板(以下WPC)輸血について報告する. 【対象と方法】過去4年半に血小板輸血でアナフィラキシー等の重篤な副作用が発生し, 前処置にて予防できなかった症例を対象とした. 濃厚血小板にACD生食(ACD-A液80mL+生理食塩液500mL)を等量加え遠心後上清を除き, 200mLのACD生食を加えWPCとして, 調整後1時間以内に投与した. 【結果】5症例のべ168回のWPC輸血を行った. 洗浄前の1バッグあたりの血小板総数は3.46±0.57×10 11, 洗浄後は2.88±0.49×10 11であった. 洗浄には75.5±80.0分の時間を要した. 5症例中1例では7回のWPC輸血のうち発熱が1回, 蕁麻疹が1回認められた. 【考察】院内調整WPCで, 副作用の発生を防止することができ, 有用であると考えられた. しかし, 洗浄により製剤内の血小板数は減少し, 血小板機能低下の可能性もある. 今後は品質の安定した血液製剤として日赤血液センターでの製造と供給が望まれる. WPCでも副作用が発生する例もあり, 緊急時, 洗浄せずに輸血した対象者に副作用がない場合もある. その理由として血漿以外の因子が考えられ, 今後検討する必要がある. また, 一度副作用が起きた症例用に継続して血小板を洗浄し続けるかどうかの判断が難しいという問題点も明らかとなった. |
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ISSN: | 1881-3011 |