9. 岡山県における輸血副作用・感染症報告の現状

【はじめに】2004年から2006年の3年間に岡山県内の医療機関で発生した副作用・感染症報告の集計と解析を行ったので報告する. 【結果】3年間で123件の副作用報告があった. 溶血性副作用の報告は一例もなかった. 感染症の疑い症例は16件(HBV8件, HCV7件, MRSA1件)であったが, 輸血用血液からのウイルス・細菌等の検出はなかった. 非溶血性副作用は107件で, 蕁麻疹が最も多く35件, 続いて発熱20件, 呼吸困難19件, 血圧低下10件, アナフィラキシーショック10件, アナフィラキシー(様)反応5件, TRALIの疑い4件, GVHDの疑い1件, その他3件であった. 厚生...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 5; p. 578
Main Authors 内藤俊二, 櫻井 聡, 岡田英俊, 山本一夫, 直木恭子, 土岐博信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2007
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Summary:【はじめに】2004年から2006年の3年間に岡山県内の医療機関で発生した副作用・感染症報告の集計と解析を行ったので報告する. 【結果】3年間で123件の副作用報告があった. 溶血性副作用の報告は一例もなかった. 感染症の疑い症例は16件(HBV8件, HCV7件, MRSA1件)であったが, 輸血用血液からのウイルス・細菌等の検出はなかった. 非溶血性副作用は107件で, 蕁麻疹が最も多く35件, 続いて発熱20件, 呼吸困難19件, 血圧低下10件, アナフィラキシーショック10件, アナフィラキシー(様)反応5件, TRALIの疑い4件, GVHDの疑い1件, その他3件であった. 厚生労働省報告対象症例(重篤症例+感染症)は44件(35.8%)であった. 各医療機関からの副作用報告件数は, 血液供給数平均2,031バッグあたり1件であったが, 各医療機関の間にばらつきがみられた. 【考察】岡山県の副作用報告は全国集計(2006)と比較して, 呼吸困難および血圧低下等の重篤な報告が多くみられた. 副作用報告の件数は各医療機関による「ばらつき」がみられたが, これは医療現場での副作用のとらえ方や, 個々の施設での輸血副作用管理体制の違いなどの影響と考えられる. また, 非溶血副作用の副作用では明確な原因の究明には至っていないものも多く見られる. 今後, 輸血用血液の安全性の向上のため更なる解析方法の検討を行い, 医療機関と連携し安全な輸血医療の推進に貢献していきたい.
ISSN:1881-3011