3.当院で経験したTTP6例

はじめに, TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)は, 1924年Moschcowizにより最初に報告された, 血小板減少性紫斑病微小血管障害性溶血性貧血, 動揺する多彩な神経障害, 軽度の腎障害, 発熱を主訴とする症候群である. 従来の統計では, 発症頻度は, 100万人あたり, 3.7人と見積もられている. 今回, 我々は, 1994年から2006年の13年間に, 6例のTTP症例を経験したので, 臨床的検討を加え報告する. 症例は, 37歳から81歳で平均58歳であった. 男性1例, 女性5例. 基礎疾患は, ネフローゼ症候群を1例認めたが, 他には, 特に認めなかった. 初診時の症状は,...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 1; pp. 74 - 75
Main Authors 中山俊之, 安藤健明, 佐藤淳, 丹田恵美子, 大下時廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2007
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Summary:はじめに, TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)は, 1924年Moschcowizにより最初に報告された, 血小板減少性紫斑病微小血管障害性溶血性貧血, 動揺する多彩な神経障害, 軽度の腎障害, 発熱を主訴とする症候群である. 従来の統計では, 発症頻度は, 100万人あたり, 3.7人と見積もられている. 今回, 我々は, 1994年から2006年の13年間に, 6例のTTP症例を経験したので, 臨床的検討を加え報告する. 症例は, 37歳から81歳で平均58歳であった. 男性1例, 女性5例. 基礎疾患は, ネフローゼ症候群を1例認めたが, 他には, 特に認めなかった. 初診時の症状は, 意識障害が, 3例. 腹痛等の消化器症状が, 3例であった. 検査では, 全例, 末梢血液中に, 破砕赤血球を認めた. 又, 血小板減少, 溶血性貧血を認めた. 治療法としては, 全例血漿交換が行われたが, 4例は, 救命し得たが, 2例は, 死亡された. 血漿交換は, 出来るだけ早期に開始することが望ましいと考えられた. 現段階まで, ADAMTS13は, 全例測定されていないが, 今後, 治療方針決定等のため適宜測定することを検討中である. 更に若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1881-3011