8. 当院における血小板輸血の現状
【目的】血小板輸血は「輸血療法の適正化に関するガイドライン」に適正と思われる使用基準が示されている. 今回, 当院における血小板輸血の現状を把握し, 血小板輸血の適正使用について検討したので報告する. 【対象および方法】当院において2005年3~8月に行われた血小板輸血患者(73名, 409件)について疾患名(輸血理由), 輸血時血小板数を調査し解析した. 血小板輸血時の適正血小板数は, 使用基準に準じて(1)急性白血病などの造血器腫瘍(骨髄移植含む):2万/μL以下, (2)再生不良性貧血, 骨髄異形成症候群などの非腫瘍性血液疾患:1万/μL以下, (3)免疫性および血栓性血小板減少症, 機...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; p. 101 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2006
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】血小板輸血は「輸血療法の適正化に関するガイドライン」に適正と思われる使用基準が示されている. 今回, 当院における血小板輸血の現状を把握し, 血小板輸血の適正使用について検討したので報告する. 【対象および方法】当院において2005年3~8月に行われた血小板輸血患者(73名, 409件)について疾患名(輸血理由), 輸血時血小板数を調査し解析した. 血小板輸血時の適正血小板数は, 使用基準に準じて(1)急性白血病などの造血器腫瘍(骨髄移植含む):2万/μL以下, (2)再生不良性貧血, 骨髄異形成症候群などの非腫瘍性血液疾患:1万/μL以下, (3)免疫性および血栓性血小板減少症, 機能異常症:重篤な出血あるいは止血困難な場合のみ, (4)固形腫瘍疾患:2万/μL以下, (5)DIC:5万/μL以下, (6)消化管出血や脳出血などの活動性出血:5万/μL以下, (7)手術等における急速出血:ガイドライン記載の各適応値を基準とした. 疾患別の人数と輸血件数は, (1)23名(200件), (2)8名(52件), (3)6名(8件), (4)13名(65件), (5)7名(21件), (6)5名(39件), (7)11名(24件)を対象とした. 【結果】1回の輸血単位数別では, 10単位の血小板輸血が行われたのは383件(94%), 20単位23件(6%), 30単位2件(0.5%), 40単位1件(0.2%)であった. 疾患別の輸血時平均血小板数(輸血前/輸血1日後:万/μL)は, (1)(1.5/1.6), (2)(1.7/4.8), (3)(2.1/4.6), (4)(2.9/6.4), (5)(3.8/6.6), (6)(5.5/7.1), (7)(3.6/3.7)であった. 適正に輸血が行われたと考えられた頻度は, 全体で232/409件(56.7%), 疾患別にみると(1)149/200件(74.5%), (2)17/52件(32.7%), (3)7/8件(87.5%), (4)25/65件(38.5%), (5)17/21件(81%), (6)7/32件(21.9%), (7)10/24件(41.7%)であった. 【考察】当院では, 再生不良性貧血, 骨髄異形成症候群などの非腫瘍性血液疾患や固形腫瘍疾患, 消化管出血や脳出血などの活動性出血でガイドライン上は不適正と考えられる血小板輸血が多く見られた. これは, 血小板輸血のトリガー値が低い疾患や急性出血で出血量の予測が立ちにくい疾患で予防的な血小板輸血がなされたためと考えられた. 輸血24時間後の平均血小板増加数は, 造血器腫瘍でほとんど上昇が見られなかったが, 他の疾患では, 約2万/μL前後の上昇が見られていた, また, 不適正の事例は同一患者で重なっている事が多く, 主治医の血小板輸血のトリガー値も異なっているように思われた. 今後, 国内における血小板製剤の需要と供給量が逆転する可能性が示されており, 血小板輸血の適正使用への取り組みは今後ますます重要視されるものと思われ, さらなる検討を加えていきたい. |
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ISSN: | 0546-1448 |