7. 自己血採血における皮膚常在菌混入防止の工夫

献血では皮膚常在菌による細菌汚染を防止するために初流血廃棄を行うことが検討されている. 自己血は代替のない血液であること, 保存期間が長期に及ぶ可能性があることから献血血液にもまして安全性の確保が必要であるが, 初流血廃棄が忍びない場合もある. そこで初流血廃棄に代わる方法として当院では「初流血返血」を実施しているので報告する. 【方法】側管付き採血バッグの採血回路を補液(VeenF)で充填する. 採血針穿刺によって採血回路内に逆流する初流血を補液用側管の手前ですばやく止め, VeenF50mlで返血する. その後400mlの貯血を行い, 等量の補液を行って採血を終了する. 対象:H16年1月...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 90 - 91
Main Authors 松崎浩史, 尾崎牧子, 一ノ宮貞子, 西山記子, 高津洋子, 田中深雪, 池田琴美, 矢野美代子, 中山輝美, 橋本有紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2006
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:献血では皮膚常在菌による細菌汚染を防止するために初流血廃棄を行うことが検討されている. 自己血は代替のない血液であること, 保存期間が長期に及ぶ可能性があることから献血血液にもまして安全性の確保が必要であるが, 初流血廃棄が忍びない場合もある. そこで初流血廃棄に代わる方法として当院では「初流血返血」を実施しているので報告する. 【方法】側管付き採血バッグの採血回路を補液(VeenF)で充填する. 採血針穿刺によって採血回路内に逆流する初流血を補液用側管の手前ですばやく止め, VeenF50mlで返血する. その後400mlの貯血を行い, 等量の補液を行って採血を終了する. 対象:H16年1月からH17年6月までの間に593回の自己血採血を行った(患者数330例). 【結果】手術を終了したのは327例で, 術中, 術後に異常な発熱, 菌血症を疑われた症例はなかった. 結語:自己血の採血に際しては, 細菌汚染のおこらないように細心の注意を払う必要がある. 本法が初流血廃棄に相当する効果があるか否かは実証されていないが, 皮膚切片や細菌混入の減少には有効であろうと予想される.
ISSN:0546-1448