17. PNH-MDSに対するReduced intensity stem cell transplantation(RIST)の1例

【はじめに】近年, Reduced intensity stem cell transplantation(RIST)の普及に伴い, これまで移植適応外の患者においても, 根治的な治療が可能となりつつある. 今回我々はPNH-MDSの症例に対してRISTを施行した症例につき報告する. 【症例】42歳男性. 現病歴は98年1月の職場検診にて軽度の貧血を認め, 半年後に貧血の進行を認めたため, 同年10月当科に精査加療目的で入院となった. 精査の結果, 赤芽球及び顆粒球系の異形成, 溶血所見, Ham, Sugar water試験陽性, PNHクローンの存在を確認したため, PNHと診断蛋白同化ホ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; p. 65
Main Authors 東梅友美, 田中淳司, 太田秀一, 比嘉敏夫, 杉田純一, 加藤菜穂子, 三浦洋子, 近藤恵一, 加畑馨, 岩尾憲明, 浅香正博, 今村雅寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2006
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ISSN0546-1448

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Summary:【はじめに】近年, Reduced intensity stem cell transplantation(RIST)の普及に伴い, これまで移植適応外の患者においても, 根治的な治療が可能となりつつある. 今回我々はPNH-MDSの症例に対してRISTを施行した症例につき報告する. 【症例】42歳男性. 現病歴は98年1月の職場検診にて軽度の貧血を認め, 半年後に貧血の進行を認めたため, 同年10月当科に精査加療目的で入院となった. 精査の結果, 赤芽球及び顆粒球系の異形成, 溶血所見, Ham, Sugar water試験陽性, PNHクローンの存在を確認したため, PNHと診断蛋白同化ホルモンによる治療を開始され, 以後外来で経過観察されていた. 2003年4月貧血の進行を認め, 再び溶血症状が出現したため, 同年10月非血縁者間同種骨髄移植(U-BMT)目的に入院となった. 03年11月27日HLA血清型完全一致遺伝子型2座不一致(A, DR)のドナーよりUBMTを施行した. 前処置はFludarabine+Busulfan+TBI 4GYにて行い, GVHD予防はCsA+sMTXであった. 移植後白血球生着はday17, 血小板の生着は31日であった. キメリズム解析ではCD3の回復遅延(Day92)が認められた. Day70頃より汎血球減少, 肝胆道酵素の上昇, 口腔内扁平苔癬を認め, 慢性GVHDと考えられたが, 特に治療を要さず, 04年4月退院するも, GVHDの悪化を認めたため, 開成病院に入院し, PSL+CsAにて治療した結果, GVHDの軽減を認めた. 現在移植後約1年7ヶ月が経過したが, 再発, GVHDの増悪を認めていない. 尚, 移植後PNH血球の消失を認めている. 【考察】PNH-MDSに対するRISTは有用な根治手段であると考えられるが, 移植時のGVHD対策はCSTと同様に十分留意する必要があるものと考える.
ISSN:0546-1448