16. 急性白血病およびMDSの同種幹細胞移植後再発に対する大量DLI療法の治療経験

金沢大学主導にて同種造血幹細胞移植後に再発をきたした急性白血病および骨髄異形成症候群(MDS)対し寛解導入療法後に大量ドナーリンパ球輸注(大量DLI)を行ない, 移植片対白血病(GVL)効果を誘導し治療効果をあげる臨床研究が行われている. 当科でも本臨床研究に参加し, 3例に対し治療を行った. 症例は, MDS, ALL, AMLの3例である. 大量DLI後, 速やかにaGVHDが誘導出来たのは2例であったが, すべての症例で1年以上の生存期間を認め, 予後を改善させた可能性が示唆された. また, すべての症例にて骨髄病変に関しては寛解を維持できたが, 骨病変に対しては十分にコントロールできず...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; p. 65
Main Authors 熊野弘毅, 山口圭介, 武田紫, 山倉昌之, 皆内康一郎, 小原雅人, 坂井俊哉, 山本聡, 藤本勝也, 西尾充史, 佐藤典宏, 小池隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2006
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Summary:金沢大学主導にて同種造血幹細胞移植後に再発をきたした急性白血病および骨髄異形成症候群(MDS)対し寛解導入療法後に大量ドナーリンパ球輸注(大量DLI)を行ない, 移植片対白血病(GVL)効果を誘導し治療効果をあげる臨床研究が行われている. 当科でも本臨床研究に参加し, 3例に対し治療を行った. 症例は, MDS, ALL, AMLの3例である. 大量DLI後, 速やかにaGVHDが誘導出来たのは2例であったが, すべての症例で1年以上の生存期間を認め, 予後を改善させた可能性が示唆された. また, すべての症例にて骨髄病変に関しては寛解を維持できたが, 骨病変に対しては十分にコントロールできず放射線照射を追加する必要があった. このことから, 大量DLIは, 骨髄病変には十分な効果があるが, 髄外病変には, 効果が不十分である可能性が示唆された.
ISSN:0546-1448