18. 同種移植後の局所再発に対し同一ドナーからの再移植と大量リンパ球輸注が奏功した急性リンパ性白血病の1例

症例は39歳女性. 急性リンパ性白血病(common B-ALL)の診断で2002年2月, HLA一致同胞より同種末梢血幹細胞移植を施行し完全寛解となった. 2003年5月より微熱, 四肢の疹痛が出現し, MRI, FDGPETにて患部に異常像を認め, 右上腕骨からの生検により原病局所再発と診断した. その後骨髄再発も認められた. 再発に対し大量Ara-C療法後に, 同一ドナーより2回目の同種末梢血幹細胞移植を施行した(CD34陽性細胞134×106/kg, CD3陽性細胞1.87×108/kg). GVL効果を誘導するため免疫抑制剤は使用しなかった. 生着は速やかで, Day30までにGVH...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 51; no. 1; pp. 46 - 47
Main Authors 皆内康一郎, 山倉昌之, 小原雅人, 熊野弘毅, 坂井俊哉, 藤本勝也, 西尾充史, 佐藤典宏, 小池隆夫, 高見昭良, 中尾眞二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2005
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Summary:症例は39歳女性. 急性リンパ性白血病(common B-ALL)の診断で2002年2月, HLA一致同胞より同種末梢血幹細胞移植を施行し完全寛解となった. 2003年5月より微熱, 四肢の疹痛が出現し, MRI, FDGPETにて患部に異常像を認め, 右上腕骨からの生検により原病局所再発と診断した. その後骨髄再発も認められた. 再発に対し大量Ara-C療法後に, 同一ドナーより2回目の同種末梢血幹細胞移植を施行した(CD34陽性細胞134×106/kg, CD3陽性細胞1.87×108/kg). GVL効果を誘導するため免疫抑制剤は使用しなかった. 生着は速やかで, Day30までにGVHDは発症せず, Day 35に1回目のドナーリンパ球輸注療法(DLI)を行った(CD3陽性細胞0.79×108/kg). Day 42に下痢が出現し急性GVHD grade 2と診断したが無治療で軽快した. 骨髄内の芽球は消失, FDG-PETで患部への集積も低下, WT-1は感度以下となった. その後再度WT-1の上昇が認められたためDay 64とday 120にDLIを2回追加(CD3陽性細胞0.57×108/kg, 2.00×108/kg)し, WT-1は感度以下となり, 2003年5月, 明らかな再発徴候を認めていない. 同種造血移植後再発のALLに対し, GVL誘導を目的とした同一ドナーからの再移植と大量DLIが有効であった. 今後は多数例での臨床試験の結果が期待される.
ISSN:0546-1448