9. 当院の脳神経外科手術における自己血輸血の再評価

【目的】当院の脳神経外科手術における自己血輸血の現状を検討したので報告する. 【対象】平成10年からの6年問に自己血貯血を行った177例について検討した. 【結果】400mL貯血は88例(平均体重59.9kg, 同種血回避率94.9%, 貯血前Hb値13.2±1.5g/dL), 800mL貯血は70例(同60.7kg, 96.8%, 13.1±14g/dL)で, 平均出血量はそれぞれ411mL, 344mLであった. 疾患名は脳腫瘍が全体の8割を占め, 800mL貯血においては9割以上が脳腫瘍であった. 【考察】平均出血量および同種血回避率から貯血計画に無理がない範囲で400mL貯血は妥当と考...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 6; p. 792
Main Authors 竹内真弓, 今野マユミ, 出村舞香, 中林恭子, 岡本好雄, 木田理子, 菅野仁, 藤井寿一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】当院の脳神経外科手術における自己血輸血の現状を検討したので報告する. 【対象】平成10年からの6年問に自己血貯血を行った177例について検討した. 【結果】400mL貯血は88例(平均体重59.9kg, 同種血回避率94.9%, 貯血前Hb値13.2±1.5g/dL), 800mL貯血は70例(同60.7kg, 96.8%, 13.1±14g/dL)で, 平均出血量はそれぞれ411mL, 344mLであった. 疾患名は脳腫瘍が全体の8割を占め, 800mL貯血においては9割以上が脳腫瘍であった. 【考察】平均出血量および同種血回避率から貯血計画に無理がない範囲で400mL貯血は妥当と考えられた. 800mL貯血の必要性は低いと思われたが, 脳腫瘍摘出前2週問の電極埋め込み期間の出血の可能性を考慮した貯血であるという臨床側の意向もあり, MAP+FFPの800mL貯血に応じている. 【結語】当院では術後深部静脈血栓症合併の頻度が高い整形外科領域ではCPDA-1による全血保存を行っており, 他の領域も800mL以内の貯血は全血貯血を行っていく考えであるが, 今後輸血療法委員会において臨床側の要望も踏まえて採血量や貯血法を再検討する予定である.
ISSN:0546-1448