P190-0 自動血球洗浄装置ACP-215を用いた洗浄血小板調製の検討

【目的】これまでに臨床使用が可能である輸液の混合液を用いた血小板用洗浄液について検討を行ってきた. その結果, 従来のブドウ糖加アセテートリンゲル液をベースとした洗浄液よりも, 血小板に対する保存効果の高い洗浄液組成について若干の知見を示してきた. 洗浄方法は大型冷却遠心機を用いた血小板をpellet状とする方法にて行っているが, この方法は洗浄に約4時間という長時間を要する. 最近, 冷凍赤血球の洗浄装置としてヘモネティクス社より自動血球洗浄装置(ACP-215)が開発された. この装置は, 成分採血装置と同様の原理により無菌的に遠心ボール内で脱グリセロール処理をする装置である. そこで今回...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 363
Main Authors 佐々木大, 及川伸治, 柴田正道, 菊地正輝, 渡辺裕之, 舩山完一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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Summary:【目的】これまでに臨床使用が可能である輸液の混合液を用いた血小板用洗浄液について検討を行ってきた. その結果, 従来のブドウ糖加アセテートリンゲル液をベースとした洗浄液よりも, 血小板に対する保存効果の高い洗浄液組成について若干の知見を示してきた. 洗浄方法は大型冷却遠心機を用いた血小板をpellet状とする方法にて行っているが, この方法は洗浄に約4時間という長時間を要する. 最近, 冷凍赤血球の洗浄装置としてヘモネティクス社より自動血球洗浄装置(ACP-215)が開発された. この装置は, 成分採血装置と同様の原理により無菌的に遠心ボール内で脱グリセロール処理をする装置である. そこで今回は, 調製時間の短縮と省力化を目的として, この装置の洗浄血小板調製への応用の可能性について洗浄条件等を検討した. 【方法】有効期限が過ぎたPC-10を用い, 5%ACD加生理食塩液を洗浄液として洗浄血小板を調製した. 調製前後にサンプルを採取し, 自動血球計数装置SF-3000によりPLTを測定し, 容量を加味し回収率を算出した. 洗浄条件は, FTRC(400mL)調製方法をもとに, 遠心速度, 洗浄回数, 洗浄液添加流速, 洗浄液量などを変更し至適条件を検索した. 【結果】遠心速度は3000~8000rpmまで調節が可能であったことから, いくつかの遠心速度で洗浄を行った. 遠心速度4800~5000rpm, 洗浄回数4回, 総洗浄液量約1500mLの条件で洗浄した結果, 回収率は50~60%であった. 調製開始より調製終了までに要する時間は約2時間であり, 実作業時間は1時間以内であった. 廃液バッグには2~3単位相当の血小板が含まれていた. 【総括】以上の結果より, 自動血球洗浄装置による洗浄血小板の調製は, 調製時間が約半分に短縮できることから作業時間短縮と省力化に有効である可能性が示唆された. しかしながら回収率が従来法に比べ低いことから, さらに洗浄条件を検討し回収率を改善する必要があると考えられる. 特に, キット内に残存していると考えられる血小板を回収する方法の検討が必要である.
ISSN:0546-1448