P164 健常人の抗Aおよび抗B抗体価の変動-17年前と現在,およびラオス人との比較

【目的】輸血における抗A, 抗B抗体の影響は古くより論じられている. 我々は日本人献血者の抗A, 抗B抗体価の変化を調査し, また, ラオス人と比較したので報告する. 【方法】無作為抽出した1986, 2001年の献血者110例と2001年のラオス人献血者58例の抗体価は, 生食法(室温15分)で比較した. 2003年の日本人献血者は30歳以下と50歳以上の群, 男女別で比較した. 抗体価は生食法と2ME処理後の間接抗グロブリン法で行った. 【成績】日本人では, 1986年はほとんどのものが128倍以上あったが, 2001年はほとんどのものが128倍以下と大きく低下していた. ラオス人は198...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 350
Main Authors 矢部隆一, 藤坂盛次, 増野敦子, 尾方博子, 五十嵐寛幸, 内田茂治, 清水弘, 中島一格, 松田利夫, Te THAMMAVONG
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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Summary:【目的】輸血における抗A, 抗B抗体の影響は古くより論じられている. 我々は日本人献血者の抗A, 抗B抗体価の変化を調査し, また, ラオス人と比較したので報告する. 【方法】無作為抽出した1986, 2001年の献血者110例と2001年のラオス人献血者58例の抗体価は, 生食法(室温15分)で比較した. 2003年の日本人献血者は30歳以下と50歳以上の群, 男女別で比較した. 抗体価は生食法と2ME処理後の間接抗グロブリン法で行った. 【成績】日本人では, 1986年はほとんどのものが128倍以上あったが, 2001年はほとんどのものが128倍以下と大きく低下していた. ラオス人は1986年の日本人とほぼ同等の抗体価を示した. 2003年の日本の献血者の抗体価はさらに低下し, 生食法では128倍以上の抗体価を示すものはなく, 男女差も認められなかったが, 加齢により低下傾向が認められた. しかし, 間接抗グロブリン法では男女差があり, 女性では512倍以上の高力価のものも認められた. この高力価群は加齢とともに増加した. 【考察】Schwartz Jらは米国献血者では100倍以上の抗体価を示すものは約3%で, 25, 000件の異型血小板輸血をしたが溶血性副作用の報告はなかったという. 日本人の抗体価は17年間に大きく変化し, 現在は欧米人と同様の抗体価と考えられる, また, 自然抗体は加齢とともに低下していた. このように日本人の抗体価は大きく変化しているので, 今後, 異型血小板輸血に関しても新たな臨床データの蓄積が望まれる.
ISSN:0546-1448