P143 当院における即時型輸血副作用の発症状況調査

【目的】輸血に伴う副作用には様々なものがあるが, 発熱蕁麻疹等の即時性で症状の軽いものは現場で対処され, 正確に把握されていなかった. 今回血液製剤への調査票貼付により, 輸血療法を実施した全患者を対象に即時型輸血副作用の発症状況調査を行ったので報告する. 【方法】血液製剤払い出し時に適合票ラベルを印刷し, 血液製剤に貼付後読み合わせをして払い出す. 裏面には副作用調査票が印刷してあり, 輸血終了後, 実施者(医師看護師)が輸血副作用の有無, 症状等を調査票のあてはまる項目にチェックし, 輸血部に返却する. 返却された調査票より, 血液製剤の使用確認と副作用の発症調査を行った. 2002年10...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 340
Main Authors 馬場佳子, 荻原由紀, 菊池久美, 竹部礼, 大石裕紀子, 大友直樹, 梶原道子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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Summary:【目的】輸血に伴う副作用には様々なものがあるが, 発熱蕁麻疹等の即時性で症状の軽いものは現場で対処され, 正確に把握されていなかった. 今回血液製剤への調査票貼付により, 輸血療法を実施した全患者を対象に即時型輸血副作用の発症状況調査を行ったので報告する. 【方法】血液製剤払い出し時に適合票ラベルを印刷し, 血液製剤に貼付後読み合わせをして払い出す. 裏面には副作用調査票が印刷してあり, 輸血終了後, 実施者(医師看護師)が輸血副作用の有無, 症状等を調査票のあてはまる項目にチェックし, 輸血部に返却する. 返却された調査票より, 血液製剤の使用確認と副作用の発症調査を行った. 2002年10月より調査票の貼付を開始し, 2003年12月までの期間の結果をまとめた. 【結果】2002年10~12月間の同種血輸血件数は2,284件(6,950単位), 2003年1年間は8, 967件(34,212単位), 調査票の回収率はそれぞれ98%, 99%であった. 調査期間内の副作用発症率は全製剤合計で0.84%(94件)であった. 製剤種別でみるとMAP0.6%, FFP0.6%, PC1.5%であった. うち, 赤十字血液センターに副作用調査依頼をしたものは5件(MAPl, FFP3, PC1)であった. 発生時間は輸血開始後10分以内5件, 30分以内15件, 1時間以内21件, 2時間以内20件, 2時間以上25件であった. 症状別では蕁麻疹33件, 発熱悪寒32件, 気分不快10件, 血圧降下3件, 血圧上昇2件, その他14件であった. 【総括】調査票貼付以前の副作用報告件数は血液センターに副作用調査を依頼するような比較的重症例のみで, 年間3~7例程度であった. 適合票の裏面に副作用の有無症状等を記入することで, 使用実態と共に, 今までの数倍の即時型副作用情報を得ることができた. 今後の副作用原因究明と対策の基礎データとしたい.
ISSN:0546-1448