H-6 ABO型不一致同種造血幹細胞移植症例における血液学的回復の検討

【はじめに】今回我々は単一施設におけるABO血液型不一致移植症例の血液学的回復について検討したので報告する. 【結果】1988年5月から2002年12月までに当科で施行したABO型不一致初回移植症例35例. 年齢は中央値31歳(17歳~52歳)であった. 移植種類別ではR-BMT17例, UR-BMT17例, U-CBT1例. ABO不適合はmajor mismatch12例, minor mismatch15症例, major-minor mismatch8例であった. 疾患はAML6例, ALL8例, NHL4例, CML9例, MDS5例, AA1例, ATL2例であり, 移植時の病期は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 222
Main Authors 東梅友美, 田中淳司, 太田秀一, 近藤健, 小林寿美子, 橋野聡, 浅香正博, 今村雅寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【はじめに】今回我々は単一施設におけるABO血液型不一致移植症例の血液学的回復について検討したので報告する. 【結果】1988年5月から2002年12月までに当科で施行したABO型不一致初回移植症例35例. 年齢は中央値31歳(17歳~52歳)であった. 移植種類別ではR-BMT17例, UR-BMT17例, U-CBT1例. ABO不適合はmajor mismatch12例, minor mismatch15症例, major-minor mismatch8例であった. 疾患はAML6例, ALL8例, NHL4例, CML9例, MDS5例, AA1例, ATL2例であり, 移植時の病期は15例が完全寛解であった. 前処置としてTBIを含む症例が25例であり, 骨髄非破壊的前処置は3例施行した. GVHD予防はCsA+sMTXが24例を占めていた. 赤血球の回復(網状赤血球10‰以上), 白血球及び血小板の生着は各々30/34(評価不能例1例), 32/35例, 28/35例で認められ, 中間値は各々38日, 17日と33日であり, 赤血球の回復のみABO一致例(中央値17日)に比較して有意に遅延が認められた(P=0.03). 急性GVHDの発症は評価可能33症例のうち24例で認められ, gradeIII+IVは37.5%であった. また, 100日以上生存例のうち慢性GVHDの発症は50%で認められた. 移植後100日までの早期死亡症例は6例に認められた. 全症例の観察期間中央値23カ月(0-166カ月)における5年生存率は63.5%であり, major mismatch83.3%, minor mismatch51.4%, major-minor mismatch62.5%であった. 当科でこれまでに施行したABO一致症例78例の成績は59.2%であったが, いずれにおいても有意差を認めなかった. 【結語】本検討の結果からABO不一致症例で赤血球生着の遅延が認められるが, 移植成績は良好であることが示唆された.
ISSN:0546-1448