17.当院における輸血副作用の管理体制および発生状況
当院では, 平成12年10月より, 輸血業務の一切を一元的に管理する部門として, 輸血管理センターを設置し, 輸血副作用発生の管理も可能となった. また, 平成13年7月からは, 輸血製剤管理システムを導入し, 効率的に管理できる体制を整えた. 副作用発生状況をふくめ, 当院における輸血副作用管理体制について, 報告する. 【管理体制】副作用発生の連絡を容易にするため, 輸血実施後に輸血管理センターへ返却される, 血液バッグに添付した適合票の裏面に, 副作用の有無のチェック欄を設けた. 導入したシステムでは適合票返却の管理もしており, 適合票が未返却の場合は, 輸血患者名, 製剤番号から, カ...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; p. 143 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2004
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 当院では, 平成12年10月より, 輸血業務の一切を一元的に管理する部門として, 輸血管理センターを設置し, 輸血副作用発生の管理も可能となった. また, 平成13年7月からは, 輸血製剤管理システムを導入し, 効率的に管理できる体制を整えた. 副作用発生状況をふくめ, 当院における輸血副作用管理体制について, 報告する. 【管理体制】副作用発生の連絡を容易にするため, 輸血実施後に輸血管理センターへ返却される, 血液バッグに添付した適合票の裏面に, 副作用の有無のチェック欄を設けた. 導入したシステムでは適合票返却の管理もしており, 適合票が未返却の場合は, 輸血患者名, 製剤番号から, カルテ等で製剤使用および副作用発生の確認を行っている. 副作用が発生した場合は, 更に「輸血副作用発生連絡票」に記入の上, 使用済みの製剤バッグを添えて提出してもらい, 輸血管理センターでは, 「輸血副作用発生連絡票」, 適合票, 使用済みバッグおよび輸血前の採血検体を保存し, 輸血製剤管理システムにて管理する. 発生した症状が重篤な場合や頻回輸血が考えられる疾病の場合は血液センターへ調査を依頼し, また, 発生した副作用については, 半年毎に輸血療法委員会へ報告している. 【副作用発生状況】2年間(平成13年7月~平成15年6月)に輸血管理センターに報告された輸血副作用の発生件数は319件で, 製剤別ではMAP112件, FFP81件, PC126件, 発生率は2.22%(319/14374)で, 製剤別ではMAP1.56%, FFP1.53%, PC6.65%であった. 症状としては発疹等の皮膚症状および発熱が大部分を占めた. 【考察】平成13年7月以前は輸血副作用の報告システムが無かったが, 本システム導入により輸血副作用発生状況は100%把握されていると考えられ, また導入後の, 患者あるいは製剤の取り違い, 異型輸血についての報告は無く, 本システムが有用であると考える. |
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ISSN: | 0546-1448 |