10.血小板置換液の保存性能の比較検討

【目的】血漿に起因する輸血副作用を防止する目的で, 血小板製剤をリンゲル液で洗浄した製剤が供給されているが, リンゲル液中では血小板の機能低下が著しく, 置換後6時間が有効期限とされている. 北海道のように製剤の輸送に長時間を要する地域では, 置換後6時間という期限は製剤の供給範囲を大幅に制限しており, より長時間保存可能な置換液の使用が切望されている. 本研究では, 1)リンゲル液で置換した場合, 2)血小板保存液として本邦で開発中のセト液で置換した場合, 3)最近報告されたPASIII(既に欧米で臨床応用されている血小板保存液)を改良したPASIIIMで置換した場合, 4)置換しなかった場...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 140 - 141
Main Authors 平山順一, 佐藤雅子, 岩原幸子, 若本志乃舞, 藤原満博, 本間稚広, 山本定光, 東寛, 池田久實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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Summary:【目的】血漿に起因する輸血副作用を防止する目的で, 血小板製剤をリンゲル液で洗浄した製剤が供給されているが, リンゲル液中では血小板の機能低下が著しく, 置換後6時間が有効期限とされている. 北海道のように製剤の輸送に長時間を要する地域では, 置換後6時間という期限は製剤の供給範囲を大幅に制限しており, より長時間保存可能な置換液の使用が切望されている. 本研究では, 1)リンゲル液で置換した場合, 2)血小板保存液として本邦で開発中のセト液で置換した場合, 3)最近報告されたPASIII(既に欧米で臨床応用されている血小板保存液)を改良したPASIIIMで置換した場合, 4)置換しなかった場合, の血小板機能の時間変化を比較検討した. 【方法】置換液:既に報告されている(日本輸血学会誌47:777-782, 2001およびVox Sang82:131-136, 2002)組成または方法に従って調製した. 血小板の調製:プールしたバフィーコートに同型の血漿(検査落ち, 凍結保存品)を添加し, 遠心(2800rpm, 6min)後の上清をPCとした. このPCを4分割し(14単位/バッグ)24時間振とうした. 置換:遠心(2560rpm, 10min)後上清を除去し, 置換液を添加(最終容量220mL)した. PRPの調製:PCを遠心(3000rpm, 10min)後上清除去し, AB血漿(検査落ち, 凍結保存品)を添加した(最終濃度300,000/μL). 血小板機能の測定:常法にて行った. Pセレクチン陽性率はフローサイトメトリー法により測定した. 【結果】置換後48時間までの血小板機能についてリンゲル液とそれ以外の置換液の保存性能を比較すると, Pセレクチン陽性率, %HSR, %ディスクにおいて大きな改善がみられた. 【まとめ】セト液やPASIIIMはリンゲル液よりも血小板機能の保存性能がはるかに優れている可能性がある.
ISSN:0546-1448