23.白血球除去療法中にフサンによるアナフィラキシー様症状を認めた潰瘍性大腸炎の1例

【目的】白血球除去療法中にフサンによるアナフィラキシー様症状を認めた症例を経験したので報告する. 【症例】31歳男性, 平成9年, 潰瘍性大腸炎(直腸炎型)の診断を受け, 以後, 内科的にペンタサ, ステロイド注腸でフォローされていた. 平成15年3月より血便が出現, 内視鏡で左半結腸型と診断, ステロイド注腸, ペンタサ増量に反応しなかったため, 5月2日より, 白血球除去療法(L-CAP, セルソーバ, 抗凝固剤フサン)を1クール(5回)施行したところ, 血便は消失し, Hbも上昇, 一時的に効果を認めた. 6月上旬, 再度血便を認め, 白血球除去療法2クール目を計画した. 6月17日,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 132 - 133
Main Authors 和泉賢一, 沼田晃彦, 鶴田裕子, 稲葉頌一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】白血球除去療法中にフサンによるアナフィラキシー様症状を認めた症例を経験したので報告する. 【症例】31歳男性, 平成9年, 潰瘍性大腸炎(直腸炎型)の診断を受け, 以後, 内科的にペンタサ, ステロイド注腸でフォローされていた. 平成15年3月より血便が出現, 内視鏡で左半結腸型と診断, ステロイド注腸, ペンタサ増量に反応しなかったため, 5月2日より, 白血球除去療法(L-CAP, セルソーバ, 抗凝固剤フサン)を1クール(5回)施行したところ, 血便は消失し, Hbも上昇, 一時的に効果を認めた. 6月上旬, 再度血便を認め, 白血球除去療法2クール目を計画した. 6月17日, 開始直後より気分不良, 腹痛, 頻脈, 顔面紅潮を認め, 中止した. 血圧低下は認めなかった. 直後に採取した血液の, 抗フサンIgE抗体はイムノクロマトキット, ELISA法ともに陰性であった. 2回目はセルソーバ回路によるアナフィラキシー様症状を疑い顆粒球除去療法(G-CAP, アダカラム, 抗凝固剤フサン)に変更した. 開始直後より腹痛, 全身発赤, 頻脈が出現し中止した. 3回目はフサンによるアナフィラキシー様症状を疑い, 抗凝固剤を, ヘパリンとオルガランに変更し, G-CAP療法を行った. アナフィラキシー様症状は出現せず, トラブルなく施行できた. 以後, 3回週1回でG-CAP療法を順調に施行できた. 考察:抗体が検出されなかったにもかかわらず, アナフィラキシー様反応の原因がフサンと思われる根拠を示す. 1. LCAP, GCAPともにアナフィラキシー様症状が認められた. (吸着器に対する反応ではない. )2. わずかな量(10ml程度)のフサン混合生食が注入されたのみで症状が出現した. (フサンと生食が含まれていない. )3. 症状の再現性があった. 4. 感作に十分な投与履歴があった. (2クール目)5. 抗ヒスタミン剤, ステロイド剤の投与で症状が軽快した. 6. ヘパリンでは症状が出現しなかった. 白血球除去法でのフサン, アレルギーはほとんど報告が無いが, 鳥居薬品の副作用報告では, 人工心肺に使用した場合に, 年間50例程度のアナフィラキシー報告があるとのことであった.
ISSN:0546-1448