8.QC手法を用いたMSBOS作成と血液製剤の適正使用の取り組み

当院では医療の質向上を目指し平成5年よりTQM活動を取り入れているが, そのテーマとして平成12年にOPE用輸血オーダーの改善(MSBOS作成), 平成14年に血液製剤の適正使用を取り上げ, 成果を得ることができたので報告する. 【TQM活動の実際】当院のTQM活動は, 毎年初旬のキックオフ大会から秋に行われる発表大会まで各サークルで約8ヶ月に渡ってQC手法を用いて行われている. まず, テーマの選択を行いその選定理由とともにキックオフ大会で発表する. そのテーマに沿って1. 現状の把握 2. 目標の設定(数値目標を設定) 3. 要因の解析 4. 重要要因の検証 5. 対策の立案(各対策を実現...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; p. 125
Main Authors 長崎有子, 森行佳美, 安永徹, 阿部幸代, 斉藤孝生, 吉田るみ子, 安永佳代子, 向野早苗, 安藤廣美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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Summary:当院では医療の質向上を目指し平成5年よりTQM活動を取り入れているが, そのテーマとして平成12年にOPE用輸血オーダーの改善(MSBOS作成), 平成14年に血液製剤の適正使用を取り上げ, 成果を得ることができたので報告する. 【TQM活動の実際】当院のTQM活動は, 毎年初旬のキックオフ大会から秋に行われる発表大会まで各サークルで約8ヶ月に渡ってQC手法を用いて行われている. まず, テーマの選択を行いその選定理由とともにキックオフ大会で発表する. そのテーマに沿って1. 現状の把握 2. 目標の設定(数値目標を設定) 3. 要因の解析 4. 重要要因の検証 5. 対策の立案(各対策を実現性, 持続性, 効果それぞれ2点満点で評価し5点以上の対策を実施) 6. 対策の実施(期間, 担当者を決める) 7. 効果の確認(有形効果, 無形効果) 8. 歯止めと標準化 9. 反省と今後の課題という様に活動を行い, 秋の発表大会で各サークルの活動報告を行っている. 【結果】OPE用輸血オーダー改善の取り組みではMSBOSを作成し, 術式の簡易入力と共にオーダー時に使用できるようなプログラムを構築した. また, 輸血依頼表に必要な患者の検査情報が自動的に記載されるようになった. これにより, T&Sからの平均出庫率25%から13%に, OPE用準備血のCT比も1.8から1.4に改善した. 血液製剤の適正使用を目的とした取り組みでは, 輸血療法委員会のTQM活動として, 検査部, 医師, 看護部, 薬剤科, 事務系と各課の枠を超えた活動となった. 適応病名, 適応基準をイントラネットに掲載しコメントの書き方と共に医師にマニュアルを配布した. 適応範囲外や検査が施行されないままオーダーされたものに関しては警告文書を輸血療法委員会名で医師宛に送った. (輸血室)研修医にはコメントの書き方の指導, 教育を行い, 減点内容を医師にメールで情報提供した. また, クラークに対してもレセプトチェック方法の指導やマニュアルを配布した. (診療報酬適正請求委員会)血漿分画製剤についても払い出し時に必要検査項目を添付した. (薬剤部)これにより, 減点金額が50%以上(月平均約40万円)減少し減点率も6.4%から3.0%へと減少した. 血液製剤購入金額も約200万円減少していた. また, 今年の歯止め確認期間においてもさらに減少していた. 【まとめ】TQM活動として, MSBOS作成や血液製剤の適正使用の取り組みを効率よく行うことができ, かなりの成果を得ることができた.
ISSN:0546-1448