15.PC中の網血小板比率に関する検討

【目的】網血小板(reticulated platelet;RP)は細胞質にRNAが残存している新生血小板であり, 赤血球における網赤血球に相当する. 網血小板は細胞容積が大きく, 機能も高いことが知られている. 我々は昨年の本学会と本年度総会において, とくに白血球除去装置(LRS)内蔵の機種で採取したPCは血小板機能の低下や大型血小板の比率(P-LCR)が低下することを報告した. その一因として, 血小板機能が高いとされる大型血小板がLRS内に捕捉されやすいためと推論した. そこで今回, PC採取前後のドナー血, PC中およびLRS内に残っている網血小板比率(%RP)を検討した. 【試料お...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; p. 111
Main Authors 菊池亮, 高嶋聡子, 野原正信, 田中真典, 田中明美, 比嘉幸枝, 丸高ゆう子, 柳田定子, 堂之上千奈美, 松田敏子, 比嘉智子, 中田浩一, 坂本久浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2004
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】網血小板(reticulated platelet;RP)は細胞質にRNAが残存している新生血小板であり, 赤血球における網赤血球に相当する. 網血小板は細胞容積が大きく, 機能も高いことが知られている. 我々は昨年の本学会と本年度総会において, とくに白血球除去装置(LRS)内蔵の機種で採取したPCは血小板機能の低下や大型血小板の比率(P-LCR)が低下することを報告した. その一因として, 血小板機能が高いとされる大型血小板がLRS内に捕捉されやすいためと推論した. そこで今回, PC採取前後のドナー血, PC中およびLRS内に残っている網血小板比率(%RP)を検討した. 【試料および方法】PC採取装置はHaemonetics-MultiとGambro-Trima(LRS内蔵)の2機種. 網血小板比率(%RP)はFlow cytometry法(林らの方法を一部改変), 大型血小板比率(P-LCR)は自動血球算定装置(Sysmex K-4500)で測定した. 一部の例では血小板凝集能を測定した. 【結果】5例の採取前の網血小板比率(%RP)は7%~16%であり, ドナー間で差がみられた. よって, 採取後, PC, LRS内の%RPとP-LCRの比較は同一ドナー内で行った. Haemonetics-Multi(3例)では採取後およびPC中の%RPとP-LCRは採取前と明らかな差はみられなかった. Gambro-Trima(2例)では, PCでP-LCRの若干の低下がみられたが, %RPには明らかな差はみられなかった. しかし, LRS内ではP-LCRの増加と%RPの増加がみられた. また, 血小板凝集能はHaemonetics-MultiのPCでやや低値を示し, Gambro-TrimaのPCではより低値であった. 【考察】例数が少ないため言及はできないが, PC採取機種によっては網血小板の回収率に差が生じることが示唆された. 今後さらに例数を増やし検討する予定である.
ISSN:0546-1448