2.鹿児島大学病院における輸血検査の24時間体制について-検査部側からの報告
ABO不適合輸血事故防止のために検査技師による輸血検査の24時間体制が薦められている. 当院では今年度4月より中央検査部, 病理部の協力のもとに検査技師による輸血検査の24時間体制が開始された. 今回, 輸血検査の24時間体制実施までの準備内容および現状について報告する. 【体制】時間外検査の人員は, 中央検査部14名, 病理部1名, 輸血部1名の合計16名である. 土曜日, 日曜日, 祭日の日勤帯は2人体制であり当直は1人体制で行っている. 時間外の検査内容は, 血算, 生化学, 凝固に加え輸血検査を行うことになった. 輸血検査は, ビーズカラム法による自動分析器Auto Vueを用いた血液...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 1; pp. 103 - 104 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2004
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | ABO不適合輸血事故防止のために検査技師による輸血検査の24時間体制が薦められている. 当院では今年度4月より中央検査部, 病理部の協力のもとに検査技師による輸血検査の24時間体制が開始された. 今回, 輸血検査の24時間体制実施までの準備内容および現状について報告する. 【体制】時間外検査の人員は, 中央検査部14名, 病理部1名, 輸血部1名の合計16名である. 土曜日, 日曜日, 祭日の日勤帯は2人体制であり当直は1人体制で行っている. 時間外の検査内容は, 血算, 生化学, 凝固に加え輸血検査を行うことになった. 輸血検査は, ビーズカラム法による自動分析器Auto Vueを用いた血液型検査, Liss-AGT法による交差適合試験とした. 交差適合試験時の赤血球浮遊液作成にはセグメントカッターを用いた. 血液型のダブルチエックは担当医師によるABO式血液型のオモテ試験とRhD式血液型を試験管法にて行うことにした. 時間外輸血検査実施までの準備期間は約6ヶ月間であった. 輸血部の勉強会が4回, 最終日には筆記試験, メーカーによる勉強会が4回, 用手法による技術指導は2回, ビーズカラム法による自動分析器の実技指導が2回その他随時行った. 【成績】1. 2002年4月から9月までの時間外輸血検査件数 4月が4件(24件), 5月が12件(17件), 6月が29件(22件), 7月が17件(25件), 8月が19件(16件), 9月が15件(31件)総数96件であった. 尚, ()内の件数は2001年の時間外輸血検査件数である. 4月は開始早期の段階であり診療科側に十分連絡されていなかったために件数が少なかったと考えられた. 2. 診療科別の件数 心臓外科51件(53.1%), 小児科12件(12.5%), 消化器外科10件(10.4%), 産婦人科6件(6.3%), 小児外科6件(6. 3%), 内科5件(5. 2%), その他6件であった. 心臓外科が圧倒的に多く半数以上を占めていた. 3. 輸血検査の時間帯17:00~22:00が40件(41.7%), 22:00~4:00が20件(20.8%), 4:00~8:00が8件(8.3%), 8:00~12:00が9件(9.4%), 12:00~17:00が19件(19.8%)であった. 4. 輸血部技師への呼び出し4月が3回, 5月が4回, 6月が5回, 7月が1回, 8月が2回, 9月が2回であり機械の操作が慣れてきたため徐々にではあるが呼び出しも少なくなった. 呼びだしの内容は機械のトラブル, 新生児のキャピラリーによる検体などが主であった. 【考察】日本輸血学会が2000年に行ったABO不適合輸血事故のアンケート調査の結果でも明らかにされたように不適合輸血の発生時間帯は日勤帯よりは夜間, 休日, 祭日などの時間外が60.2%と多いことから早急に検査技師による輸血検査の24時間体制が必要とされている. 今後より安全な輸血施行のために検査技師による輸血検査の24時間体制に加え血液製剤の管理についても実施していく予定である. |
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ISSN: | 0546-1448 |