12.遅発型溶血性輸血副作用をみた多数抗体産生

輸血を契機に複数の抗体を産生し遅発型溶血性輸血副作用(DHTR)を起こした症例を経験した. 【症例】77歳女性. 輸血歴無し, 妊娠歴有り. 肝硬変, HCV(+). 2003年4月, 胃静脈瘤破裂により吐血し, A病院を経て当院入院. 翌日にかけてMAP4u, FFP4uを輸血した. 入院時の不規則抗体検査は陰性だった. 輸血後day12, LD, I-Bilの上昇, Hbの低下, 血尿がみられた. day14不規則抗体検査で抗E, 抗c, 抗Jka抗体が同定された. 輸血製剤(MAP2, 2本)の赤血球抗原はCcDEe, Jk(a-b+)とCCDee, Jk(a+b+)だった. day19...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 6; pp. 775 - 776
Main Authors 馬場千華子, 小野智, 三浦里織, 安田広康, 尾形隆, 大戸斉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2003
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Summary:輸血を契機に複数の抗体を産生し遅発型溶血性輸血副作用(DHTR)を起こした症例を経験した. 【症例】77歳女性. 輸血歴無し, 妊娠歴有り. 肝硬変, HCV(+). 2003年4月, 胃静脈瘤破裂により吐血し, A病院を経て当院入院. 翌日にかけてMAP4u, FFP4uを輸血した. 入院時の不規則抗体検査は陰性だった. 輸血後day12, LD, I-Bilの上昇, Hbの低下, 血尿がみられた. day14不規則抗体検査で抗E, 抗c, 抗Jka抗体が同定された. 輸血製剤(MAP2, 2本)の赤血球抗原はCcDEe, Jk(a-b+)とCCDee, Jk(a+b+)だった. day19, day22に貧血改善のため適合MAP2各1本輸血した. day22輸血開始4時間後, 発熱, LD, I-Bil軽度上昇し翌日血尿がみられた. 後日, day22患者血清から高力価の抗HLA抗体(multireactive)が検出された. day26直接抗グロブリン試験弱陽性, DT解離液はday22輸血製剤と弱い反応がみられた. 患者に腎機能障害は認められず, day49退院となった. 【まとめ】第1回のDHTRは, 抗E, 抗c, 抗Jka抗体によると考えられる. 抗HLA抗体による溶血性副作用が論議されている. day22輸血後の溶血様副作用と抗HLA抗体の関与について検討中である.
ISSN:0546-1448