P198同種末梢血幹細胞移植におけるCD34陽性細胞数必要量の検討

【目的】同種末梢血幹細胞移植(PBSCT)のドナー安全性を考慮した場合, G-CSFの投与量やアフェレシスの回数を減らした方がよい. しかし, CD34陽性細胞(CD34+)の最少限必要量が必ずしも定まっていないため, ドナーに必要以上の負担をかけている可能性がある. そこで我々は同種PBSCTにおけるCD34+数と造血回復の関係を解析し最少限必要量CD34+に関する検討を試みた. 【対象方法】1996年10月から2002年11月までに当院で同種PBSCTを施行した51例のうち初回移植45例をレトロスペクティブに解析し, 移植されたCD34+数と移植後血球が回復するまでに要した日数との関係を検...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 333
Main Authors 牧野淳, 奥山美樹, 中川美子, 矢沢昌子, 佐久間香枝, 石井加世, 國友由紀子, 高木朋子, 藤本昌子, 山本恵美, 小澤直宏, 比留間潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2003
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Summary:【目的】同種末梢血幹細胞移植(PBSCT)のドナー安全性を考慮した場合, G-CSFの投与量やアフェレシスの回数を減らした方がよい. しかし, CD34陽性細胞(CD34+)の最少限必要量が必ずしも定まっていないため, ドナーに必要以上の負担をかけている可能性がある. そこで我々は同種PBSCTにおけるCD34+数と造血回復の関係を解析し最少限必要量CD34+に関する検討を試みた. 【対象方法】1996年10月から2002年11月までに当院で同種PBSCTを施行した51例のうち初回移植45例をレトロスペクティブに解析し, 移植されたCD34+数と移植後血球が回復するまでに要した日数との関係を検討した. 通常移植が34例, ミニ移植が17例であった. 【結果】全例の採取CD34+数は平均3.80(0.99-18.92)×10^6/kg, 白血球数≧1000/μLになる移植後日数は平均12(6-60)日, 血小板数≧2万/μLになるのは平均12.6(4-56)日であり全例で生着を認めた. CD34+数の最少例(0.99×106/kg)では白血球数≧1000/μLの日数は12日, 血小板数≧2万/μLの日数は20日であった. 通常移植に関してCD34+数を3×10^6/kg以上(N=11)と以下(N=17)に分類した場合, 白血球数≧1000/μLの日数は前者で有意に短く(11.82±1.89vs1500±3.00days, p=0.005), CD34+数を2×10^6/kg以上(N=16)と以下(N=12)に分類した場合, 血小板数≧2万/μL以上の日数は前者で有意に短縮された(12.94±2.52vs17.75±6.02days, p=0.02). なお, ミニ移植では差は認められなかったしかし, 症例全体において, あるいは通常移植に限ってもCD34+数と血球回復に要した日数の間には明らかな相関関係は認めなかった. 【考察】CD34+数が多い程, 造血回復が早い可能性があるが, 今回, 検討した症例では全例で生着を認め, 最少例1×10^6/kg以下の例でも速やかな造血回復が見られたことより, CD34+最少必要量は1×10^6/kg以下の可能性が高い. 今後, 生着のみならず, 予後やGVHDの関係も考慮し最少必要量を検討することは意義あることと思われた.
ISSN:0546-1448