P186実患者数に基づいた輸血副作用の頻度
我々は, 第49回輸血学会総会にて当院における3年間の輸血副作用発生状況について延患者数を基に報告した. 今回, 最近2年間の輸血例に関し, 重複例を除き, 性別, 調査期間中の輸血回数などを考慮した実輸血患者数に基づく輸血副作用発生状況について調査したので報告する. 【対象】2000年9月から2002年8月の全輸血症例【結果】〈調査期間中の輸血状況〉A. 輸血患者数1,335名(男性767名, 女性568名;平均年齢63.6才, 62.8才;単回輸血408名, 複数回輸血927名)B. 輸血件数9,257件(67,255u)[内訳]RC5,051件(14,136u), FFP715件(5,5...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 327 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2003
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Summary: | 我々は, 第49回輸血学会総会にて当院における3年間の輸血副作用発生状況について延患者数を基に報告した. 今回, 最近2年間の輸血例に関し, 重複例を除き, 性別, 調査期間中の輸血回数などを考慮した実輸血患者数に基づく輸血副作用発生状況について調査したので報告する. 【対象】2000年9月から2002年8月の全輸血症例【結果】〈調査期間中の輸血状況〉A. 輸血患者数1,335名(男性767名, 女性568名;平均年齢63.6才, 62.8才;単回輸血408名, 複数回輸血927名)B. 輸血件数9,257件(67,255u)[内訳]RC5,051件(14,136u), FFP715件(5,584u), PC3,491件(47,505u)C. 白除フィルター使用頻度(FFP除く)55.5%(RC38.9%, PC79.5%)<輸血副作用>A. 発生件数326件(RC98件, FFP8件, PC220件)B. 発生頻度;1)輸血患者10.0%(男性10.4%, 女性9.3%;単回輸血2.7%, 複数回輸血13.2%)2)輸血件数3.5%(RC1.9%, FFP1.1%, PC6.3%)3)白除フィルター(FFP除く):使用4.7%(RCl.4%, PC7.1%), 未使用2.5%(RC2.3%, PC3.4%)C. 副作用の種類:蕁麻疹(全体の68.4%), 発熱悪寒(25.8%)を単独或は併発した症例が大部分を占めていた. 製剤別ではRCは発熱悪寒が, FFP, PCでは蕁麻疹が多く認められた. RCの発熱悪寒副作用頻度は白除フィルター使用症例が未使用症例に比べ有意に低値であった. 1まとめ1輸血副作用は輸血28. 4回に1回(3. 5%)の頻度で発生しており, PC輸血で多く認められた(6. 3%). 副作用の種類は, 蕁麻疹, 発熱悪寒が大部分を占め, RCでは発熱悪寒, PC, FFPでは毒麻疹を多く認めた. この結果は前回の調査と同様の傾向であったが, 今回の調査より輸血患者の10人に1人(10%)で副作用が発生している事が判明し, 予想以上の頻度であった. また, 副作用患者の男女差は無く, 複数回輸血患者でより多く発生していた. 副作用の多くが製剤に混入する白血球, 血漿成分に起因すると考えられることより, 貯留前白血球除去製剤, 洗浄血小板の供給体制の早期確立が望まれる. |
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ISSN: | 0546-1448 |