P175-O血小板輸血男性患者から検出された抗HPA-4b抗体について

【目的】抗HPA-4b抗体は柴田らによって同種免疫性新生児血小板減少症(neonatal alloimmune thrombocytopenia:NAITP)の症例から初めて報告されて以来, その抗体の検出は妊婦, 経産婦からの症例報告がほとんどである. 今回, 我々は, 男性の血小板輸血患者から抗HPA-4b抗体を検出したので報告する. 【対象および方法】患者ITは33歳, 男性, 慢性骨髄性白血病, 血液型はB型, Rho+, HLA-A2, A26, B54, B62, Cw1, Cw9, DR8(DRB1*08032), DR15(DRB1*1501), DR51(DRB5*0101)...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 322
Main Authors 秋田真哉, 皆森久美子, 荒木延夫, 能勢義介, 井本しおん, 三戸壽, 河瀬正晴, 多田寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2003
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Summary:【目的】抗HPA-4b抗体は柴田らによって同種免疫性新生児血小板減少症(neonatal alloimmune thrombocytopenia:NAITP)の症例から初めて報告されて以来, その抗体の検出は妊婦, 経産婦からの症例報告がほとんどである. 今回, 我々は, 男性の血小板輸血患者から抗HPA-4b抗体を検出したので報告する. 【対象および方法】患者ITは33歳, 男性, 慢性骨髄性白血病, 血液型はB型, Rho+, HLA-A2, A26, B54, B62, Cw1, Cw9, DR8(DRB1*08032), DR15(DRB1*1501), DR51(DRB5*0101), DQ6, HPA-4a+, 4b-. 16回の血小板輸血歴があり, 血小板輸血不応答に陥ったため, HLA抗体スクリーニングをワンラムダ社LAT1240, 血小板特異抗体スクリーニングならびに特異性の同定をオリンパス社のanti-HPAMPHAパネルを用いて測定した. 【結果および考察】HLA抗体はクラス1, クラスII共に陰性を示したが, 血小板特異抗体としてIgG型のHPA-4b(抗体価4倍)が検出された. 日本人のHPA-4bの抗原頻度は1.7%で白人の抗原頻度(0.1%以下)と比較して高く, これまでにNAITの報告は多い. しかし, 輸血による産生の報告はほとんどなく, その理由として, 100回の血小板輸血において免疫刺激の機会が1~2回しかなく, 仮に抗体が産生されても, 次回にHPA-4b陽性の血小板が輸血される機会が少ないためのものと考える. また, 妊娠による抗HPA-4b抗体の産生率はHLA-A24-B52-Cw12-DR15(DRBr1502)のハプロタイプを有すると高いことに対し, 今回の輸血による抗体の産生症例はこのハプロタイプを有さなかった. 過去16回の血小板輸血ドナーのHPA-4型についても検討し, 血小板輸血不応答の究明と併せて報告する.
ISSN:0546-1448