PO78Bm型血球と反応する血清について

【目的】「おもて試験」と「うら試験」が不一致を示す変異型のなかで, 日本人ではB, 型は最も多く検出される. 1991年矢部らは, Bm型血球と反応するO型血清について報告している. 我々もBm型血球で献血者血清のスクリーニングを行ない, 反応性が異なるBm型血球と凝集する血清を検出したので報告する, 【方法】Bm型血球でのスクリーニングは, 食塩液法で実施した. 抑制試験は唾液の場合は被検血漿の半量を, 血漿の場合は等量を加えて行った. 【結果】Bm型血球で0型6,420例, A型2,549例についてスクリーニングを行ない, O型献血者から9例のB, 型血球と特異的に反応する血清が検出された...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 273
Main Authors 菊地正輝, 佐々木大, 伊藤正, 高橋美代子, 渡辺裕之, 船山完一, 石田清光, 室井弥生, 千葉胤貞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2003
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Summary:【目的】「おもて試験」と「うら試験」が不一致を示す変異型のなかで, 日本人ではB, 型は最も多く検出される. 1991年矢部らは, Bm型血球と反応するO型血清について報告している. 我々もBm型血球で献血者血清のスクリーニングを行ない, 反応性が異なるBm型血球と凝集する血清を検出したので報告する, 【方法】Bm型血球でのスクリーニングは, 食塩液法で実施した. 抑制試験は唾液の場合は被検血漿の半量を, 血漿の場合は等量を加えて行った. 【結果】Bm型血球で0型6,420例, A型2,549例についてスクリーニングを行ない, O型献血者から9例のB, 型血球と特異的に反応する血清が検出された:また, ABm型血球でA型2,644例, AB型1,308例についてスクリーニングを行なったが, 反応する血清は得られなかった. Bm型血球と反応した5例について反応性を調べたところ, 食塩液法の室温相より37℃相での反応が増強した例が2例, 同等の例が2例, 減少した例が1例であり, 抗グロブリン法で3例が陽性を示した. 反応の強い2例の被検血漿を用いてB型分泌型唾液で抑制試験を行ったところ, 一方は抑制され, 他方は抑制されなかった. 唾液で抑制された被検例は血漿でもBm型血球との反応性が抑制された. 血液型既知の血漿を希釈して抑制の強さを比較したところ, BLe(a-b+)>BmLe(a-b+)>BLe(a+b-)>OLe(a-b+), OLe(a+b-)の順であった. 1名の献血者が再来し再検査したところ, Bm型血球との反応性は消失していた. 【まとめ】O型献血者の約700例に1例の割合でBm型血球と反応する血清が検出された. なお, Bm型とABm型血球を用いてA型5, 192例について検査したが, 陽性を示す例は検出されなかった. Bm型血球との反応性は, 被検血漿により, 至適反応温度反応相, 唾液での抑制の有無など様々であった. また, 追跡できた1名においては, Bm型血球との反応性は一過性であった.
ISSN:0546-1448