PO67IgA腎症におけるTGFB1遺伝子の解析

【目的】TGFβ分子は少なくとも5種類のアイソフォームから成る分子群である. TGFβ1分子をコードするTGFB1遺伝子は第19番染色体に存在しプロモーター領域-509番目にC/Tの変異が存在し, TGFβ濃度の制御に関わると想定されている. 疾患の発症進展にも関与していると考えられる. IgA腎症では発症および間質線維化による腎不全進展への関与が考えられる. 私達は, 今回IgA腎症患者におけるTGFB1遺伝子多型を解析し疾患発症への関与の検討を行なった. 【方法】IgA腎症患者40名, 対照群24名の末梢血白血球よりゲノムDNAを抽出し, TGFB1遺伝子プロモーター領域をPCR法にて特異...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 268
Main Authors 関川秀義, 山本喜則, 吉田由美, 藤代誠, 高階成美, 丸山千恵子, 桑田昇治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2003
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】TGFβ分子は少なくとも5種類のアイソフォームから成る分子群である. TGFβ1分子をコードするTGFB1遺伝子は第19番染色体に存在しプロモーター領域-509番目にC/Tの変異が存在し, TGFβ濃度の制御に関わると想定されている. 疾患の発症進展にも関与していると考えられる. IgA腎症では発症および間質線維化による腎不全進展への関与が考えられる. 私達は, 今回IgA腎症患者におけるTGFB1遺伝子多型を解析し疾患発症への関与の検討を行なった. 【方法】IgA腎症患者40名, 対照群24名の末梢血白血球よりゲノムDNAを抽出し, TGFB1遺伝子プロモーター領域をPCR法にて特異的に増幅後, 制限酵素を用いたPCR-RFLP法にて解析した. 【結果】TGFB1遺伝子-509C/T対立遺伝子頻度は患者群と対照群で有意差を認めなかった. 【総括】IgA腎症の発症進展に, TGFB1遺伝子-509C/Tの関与は少ないと考えられた. 輸血領域においてはTGFβは, 非溶血性輸血副作用の発症の修飾に関与すると想定される. 今後TGFBl遺伝子の他の領域の遺伝子多型の解析も必要であると考えられる.
ISSN:0546-1448