P-135 秋田県における自己血輸血の現状-2001年アンケート調査から
(はじめに)我々は自己血輸血推進のため, 地域の研究会を組織し自己血輸血の啓蒙, 普及に努めてきている. 過去2回, 研究会で秋田県における自己血輸血の実施状況を調査報告している. 今回, 自己血輸血を施行する上での状況の変化, 改善点, 新たな問題点を知るため, 再度調査し, 自己血輸血の推進状況などにつき以前の調査と比較検討したので報告する. (対象, 調査方法)前回と同様, 秋田県内の病床50以上の34病院151外科系診療科を対象にアンケート調査した. 対象期間は2001年1月から6月とし, 調査内容は自己血輸血実施の有無, 方法, 採血, 管理状況, エリスロポイチン(EPO)使用状況...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 222 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2002
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Summary: | (はじめに)我々は自己血輸血推進のため, 地域の研究会を組織し自己血輸血の啓蒙, 普及に努めてきている. 過去2回, 研究会で秋田県における自己血輸血の実施状況を調査報告している. 今回, 自己血輸血を施行する上での状況の変化, 改善点, 新たな問題点を知るため, 再度調査し, 自己血輸血の推進状況などにつき以前の調査と比較検討したので報告する. (対象, 調査方法)前回と同様, 秋田県内の病床50以上の34病院151外科系診療科を対象にアンケート調査した. 対象期間は2001年1月から6月とし, 調査内容は自己血輸血実施の有無, 方法, 採血, 管理状況, エリスロポイチン(EPO)使用状況, 同種血併用率, 自己血輸血施行上の問題点, 将来の自己血輸血実施予定などとした. (成績)アンケート回収率は74.2%であった. 自己血輸血は61診療科, 54.5%で行われ, 前回調査時の実施率37.1%より増加していた. 実施率と症例数が最も高いのは整形外科であった. 産婦人科の実施率は著明に増加していた. 自己血輸血法では貯血式が増加し, 希釈式が減少していた. 貯血式自己血の採血, 保管を一元化する施設や専用保冷庫を使用する施設が増加していた. EPO使用率に大きな変化はなかった. 同種血併用率は全体では減少したが, 増加した診療科もあった. 自己血輸血の主な問題点は, 貯血式は人手と時間がかかること, 希釈式は知識がないこと, 回収式は安全性への不安や人手がかかることであった. 同種血輸血率は6.8%で, これらに対し50.0%の診療科で今後, 自己血輸血を考えていた. 自己血輸血の推進には, 設備とスタッフの整備, 医師への啓蒙, 保険上の制約の緩和が必要との意見が多かった. (結論)自己血輸血は前回調査時よりも秋田県内に広く普及していた. 今後は, 同種血併用率を減らすために複数の自己血輸血法を併用し, より一層の自己血輸血の普及のために医療機関全体の組織的取り組みが必要と思われた. |
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ISSN: | 0546-1448 |