P-085 マウスモノクローナル抗Kx抗体の作製

(目的)McLeod型はKx血液型に関連するまれな表現型でKx抗原を欠損していることが知られている. その同定には血清学的, 生化学的, 赤血球形態検査等が行われている. しかしMcLeod型の確認に必要な抗Kxは入手することがほとんど不可能であった. そこで今回, Kx蛋白のアミノ酸配列に基づいて作製した合成ペプチドをマウスに免疫し, モノクローナル抗Kx抗体を作製し, その特異性について検討した. (方法および成績)Kx蛋白のアミノ酸配列(N末端より111~127番目)に基づいて合成したペプチドをBalb/cマウスに免疫し, 常法によりミエローマ細胞(NS-1)と細胞融合を行った. 初回免...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 197
Main Authors 小野寺由美, 二上由紀, 佐藤博美, 前川孝子, 小林進, 湯浅晋治, 内川誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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ISSN0546-1448

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Summary:(目的)McLeod型はKx血液型に関連するまれな表現型でKx抗原を欠損していることが知られている. その同定には血清学的, 生化学的, 赤血球形態検査等が行われている. しかしMcLeod型の確認に必要な抗Kxは入手することがほとんど不可能であった. そこで今回, Kx蛋白のアミノ酸配列に基づいて作製した合成ペプチドをマウスに免疫し, モノクローナル抗Kx抗体を作製し, その特異性について検討した. (方法および成績)Kx蛋白のアミノ酸配列(N末端より111~127番目)に基づいて合成したペプチドをBalb/cマウスに免疫し, 常法によりミエローマ細胞(NS-1)と細胞融合を行った. 初回免疫には等量のFCA(フロイント完全アジュバント)を混合して使用した. クローニングを繰り返し, 抗体産生株Kx2-6を得た. スクリーニングは免疫原に使用した合成ペプチドを固相化したプレートを作製し, ELISA法で行った. ELISA法での抗体価は1,000倍であった. 赤血球を用いた凝集反応では食塩液法, 酵素法, 抗グロブリン法のいかなる方法でも陰性であった. Immunoblottingによる確認検査を行ったところ, normal, Kmod, K0型血球では分子量37,000付近にKx蛋白に相当するバンドが検出された. しかしながらMcLeod型5例とはすべて陰性であった. (考察)今回我々はKx蛋白のアミノ酸配列に基づく合成ペプチドをマウスに免疫してモノクローナル抗体Kx2-6を作製することに成功した. このモノクローナル抗体は入手困難であった抗Kxに代わり, McLeod型の確認検査用試薬として非常に有用な抗体であると思われる.
ISSN:0546-1448