P-025 アトピー性皮膚炎患者における血小板Ca/Tu抗原対応GPIIIa遺伝子の解析

(目的)血小板特異抗原(HPA)はGPIIb-IIIa複合体等により形成され, 血小板の細胞接着等に関わる分子である. Ca/Tu(HPA-6w)抗原は血清学的にaおよびbに型分類され, GPIIIa遺伝子コドン489番目のGln/Argが対応する. 同抗原の解析報告は多くなく, 血小板機能に関わる影響も十分には明らかではない. 私達は, 重症のアトピー性皮膚炎の発症進展へのCa/Tu抗原系の関与について検討を行なった. (方法)重症アトピー性皮膚炎患者37名および対照群50名の末梢血白血球よりゲノムDNAを抽出. GPIIIa遺伝子コドン489番が含まれる第9エクソンをPCR法で特異的に増幅...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 167
Main Authors 山本喜則, 関川秀義, 吉田由美, 丸山千恵子, 桑田昇治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:(目的)血小板特異抗原(HPA)はGPIIb-IIIa複合体等により形成され, 血小板の細胞接着等に関わる分子である. Ca/Tu(HPA-6w)抗原は血清学的にaおよびbに型分類され, GPIIIa遺伝子コドン489番目のGln/Argが対応する. 同抗原の解析報告は多くなく, 血小板機能に関わる影響も十分には明らかではない. 私達は, 重症のアトピー性皮膚炎の発症進展へのCa/Tu抗原系の関与について検討を行なった. (方法)重症アトピー性皮膚炎患者37名および対照群50名の末梢血白血球よりゲノムDNAを抽出. GPIIIa遺伝子コドン489番が含まれる第9エクソンをPCR法で特異的に増幅. 多型領域は制限酵素MspI, AvaI, AciIを用い, PCR-RFLP法で解析した. (結果)同義置換3種類を含む4種類の対立遺伝子の判別が可能であった. 患者群では489Glnの遺伝子頻度が対照群に比べて, 増加傾向を示した(2.6%対1.0%). 489Arg(CGG), 489Arg(CGA)の遺伝子頻度は, 患者群および対照群で, それぞれ, 69%対83%, 24%対16%であった. 489Arg(CGC)は両群ともに見い出されなかった. (総括)GPIIb-IIIa分子上のアミノ酸変異が持つ臨床的な意義については, 今後, GPIIIa遺伝子解析とあわせて, 機能的役割についても明らかにしていく必要があると考えられる.
ISSN:0546-1448