P-001 B(A)型の一例

(目的)血液型オモテ検査において, ある種のモノクロナール抗体と反応しオモテ, ウラ検査不一致となった血液型を検出したので報告する. (症例)患者は26歳女性. 妊娠歴, 輸血歴なし. ホクロ摘出のため形成外科を受診し, 手術予定のため血液型検査が依頼された患者である. (方法および成績)血液型検査は, 日常検査ではオモテ検査で2種のモノクロナール抗体を使用し, ウラ検査は市販血球を使用している. オモテ検査は, オーソ社(O)製抗A(+~+s), イムコア社(I)製抗A(-), 抗Bは両社製とも(4+)で, ウラ検査はA血球(3~4+), B血球(-), 0血球(-)であった. 最終判定はO...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 155
Main Authors 神白和正, 矢沢百合香, 五十嵐朋子, 常山初江, 小笠原健一, 内川誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:(目的)血液型オモテ検査において, ある種のモノクロナール抗体と反応しオモテ, ウラ検査不一致となった血液型を検出したので報告する. (症例)患者は26歳女性. 妊娠歴, 輸血歴なし. ホクロ摘出のため形成外科を受診し, 手術予定のため血液型検査が依頼された患者である. (方法および成績)血液型検査は, 日常検査ではオモテ検査で2種のモノクロナール抗体を使用し, ウラ検査は市販血球を使用している. オモテ検査は, オーソ社(O)製抗A(+~+s), イムコア社(I)製抗A(-), 抗Bは両社製とも(4+)で, ウラ検査はA血球(3~4+), B血球(-), 0血球(-)であった. 最終判定はO製ではオモテ, ウラ不一致で, I製ではB型と判定した. なお, 血清中の抗A抗体は, A2血球とは(+~2+)反応した. 追加の人由来抗A(-), 抗B(4+)でB型であった. 精査検査の吸着解離試験は, O製抗Aで(+s~2+), 対照O型(-), I製抗Aとの検査時は(+w), 対照O型(+w)であり信頼できる結果とならなかった. 血液型転移酵素は, Aトランスフェラーゼ陰性(対照:256倍), B転移酵素64倍(対照:32倍)であった. また, 中央血液センターに依頼した精査でも, 当院と同様の反応でB(A)型のパターンを示し, ABO遺伝子解析でB(A)型にみられる典型的なR102/B101遺伝)型が同定された. (結論)血液型検査でI製の抗体では, オモテ, ウラ検査でB型と判定されたが, O製のモノクロナール抗A(MH04)とは(+s~2+)に反応するB(A)型を検出した. 遺伝子解析の結果でもB(A)型に特有な遺伝型が検出された. 症例は形成外科の手術予定で手術時に輸血は実施されなかった. (考察)当院は血液型検査を2人の技師によりダブルチェックしている. そのため2種類のモノクロナール抗体を用い, MH04で検査していたため今回の症例に遭遇することができた. B(A)型など幅広く検出するには, 抗体の特性を考慮して選択する必要がある.
ISSN:0546-1448