O-047 著明なnatural killer(NK)細胞高値例と悪性腫瘍の予後

NK細胞は癌細胞を破壊し, NK細胞の多少は患者の治療及び予後に影響を及ぼすと思われる. 以前, 悪性度の高い癌患者で手術を繰り返し, その後癌から解放されたが, NK細胞が高い比率を示す例を経験した. その例は初発から21年後の現在も高い比率を示し, 予後との関係を強く示唆するので報告する. (方法)NK細胞の比率はフローサイトメトリー法で測定した. LAK細胞はリンパ球にinterleukin2を作用させて1週間培養して誘導した. NK活性及びLAK活性は4h-51Cr-release assayにて測定した. 標的細胞にはK562, Rajiを用い, それに患者の手術時に腫瘍組織から株化...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 150
Main Authors 増田智子, 永井香織, 松本美紀, 大石裕紀子, 馬場佳子, 大友直樹, 梶原道子, 小松文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:NK細胞は癌細胞を破壊し, NK細胞の多少は患者の治療及び予後に影響を及ぼすと思われる. 以前, 悪性度の高い癌患者で手術を繰り返し, その後癌から解放されたが, NK細胞が高い比率を示す例を経験した. その例は初発から21年後の現在も高い比率を示し, 予後との関係を強く示唆するので報告する. (方法)NK細胞の比率はフローサイトメトリー法で測定した. LAK細胞はリンパ球にinterleukin2を作用させて1週間培養して誘導した. NK活性及びLAK活性は4h-51Cr-release assayにて測定した. 標的細胞にはK562, Rajiを用い, それに患者の手術時に腫瘍組織から株化した腫瘍細胞H41をも用いた. (症例)1980年患者42歳のとき膀胱腫瘍(transitional cell carcinoma, TCC G2-3)に罹患し, transurethral resection of the bladder tumor(TUR-BT)を行った. しかし再発を繰り返し, TUR-BTを数回繰り返し, 種々の化学療法を行った. 1985年には周囲に浸潤し, 膀胱容量も低下したので放射線照射後に膀胱全摘とileoconduit constructionを行った. その後も化学療法を続けたが, 1987年以来再発はなく腫瘍は消滅した. (結果)患者の現在のCD16:49.8%(対照12%), NK活性83.5%(対照55%), LAK活性93.5%(対照56%), 患者リンパ球はH41に対して高接着率, 高キラー活性を示した. (結論)本例の高比率NK細胞はいつから起こったか不明だが, 1994年には高いことが確認された. 本例の高比率NK細胞は癌消滅と深く関係していると推測された.
ISSN:0546-1448