O-045 潰瘍性大腸炎に対する単核球除去療法の試み

(はじめに)潰瘍性大腸炎(UC)は難治性の慢性疾患であり, サラゾピリンやステロイドなどの薬剤により治療されている. 近年, 治療抵抗例に対して白血球除去療法が有効とされ, カラムを用いた顆粒球除去療法(GCAP), 白血球除去療法(LCAP)が行われている. 今回我々は白血球除去療法として, 選択的に単核球(リンパ球, 単球)を血液成分分離装置で除去する単核球除去療法(MCAP)を試みたので報告する. (症例および方法)症例:同意の得られた難治および治療抵抗性UC患者6例(男性4例, 女性2例, 15~39歳, UC歴1~120ヶ月)を対象に実施した. 方法:血液成分分離装置AS-104(F...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 149
Main Authors 安藤高宣, 加藤井久子, 柴崎恵美, 野村靖子, 片井明子, 丹羽玲子, 加藤栄史, 高本滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:(はじめに)潰瘍性大腸炎(UC)は難治性の慢性疾患であり, サラゾピリンやステロイドなどの薬剤により治療されている. 近年, 治療抵抗例に対して白血球除去療法が有効とされ, カラムを用いた顆粒球除去療法(GCAP), 白血球除去療法(LCAP)が行われている. 今回我々は白血球除去療法として, 選択的に単核球(リンパ球, 単球)を血液成分分離装置で除去する単核球除去療法(MCAP)を試みたので報告する. (症例および方法)症例:同意の得られた難治および治療抵抗性UC患者6例(男性4例, 女性2例, 15~39歳, UC歴1~120ヶ月)を対象に実施した. 方法:血液成分分離装置AS-104(Fresenius社)にて末梢血幹細胞採取用回路(C4Y)を用い, 1500ml~4500mlの血液を週1回処理し, 5週間連続実施した. 効果判定は, 臨床症状および各種検査により評価した. (成績)本法を施行した6例中, クエン酸中毒のため途中で中止した1例を除く5例で, 寛解4例, 有効1例と治療効果が認められた. MCAP1回当り4.605±2.126×107個/Kg(mean±SD)の白血球が除去され, 内訳(分画%, mean±SD)は単核球93.89±4. 27(Ly65.58±10.77, Mo28.28±9.50), 顆粒球6.11±4.27と除去白血球の殆どが単核球であった. MCAP前後における血液データの変動は, 平均値でMCAP前のWBC 8487.5/μl, Hb 12.26g/dl, Plt 301.5×103/μlに対し, MCAP後はWBC 7208.3/μL, Hb 10.98g/dl, Plt251.0×103/μlであり, Hbで10%, Pltで17%の減少が認められたが, 強度の貧血, 血小板低値症例以外は本療法の実施は可能であると考えられた. (まとめ)UC6例に対し血液成分分離装置によるMCAPを試み, 副作用のため中止した1例を除き良好な結果が得られた. MCAPにより1回当り平均4.605x107個/Kgの白血球が除去され, 内90%以上が単核球であり, UCの白血球除去療法は, 単核球の選択的除去でも高い有効性が認められた. MCAPは, 強度の貧血, 血小板低値症例で無い限り, GCAP, LCAPと同様UCに対する有効な治療法になり得ると考えられた.
ISSN:0546-1448