O-039 血液系細胞に特異的に発現するマイナー組織適合性抗原を認識する,HLA-A'2402拘束性CTLクローンの樹立とその応用性

(目的)血液系細胞に特異的なマイナー組織適合抗原(mHA)は, HLA一致同種移植後の造血器腫瘍に対する移植片対腫瘍(GVT)効果の標的抗原として有用である. 現在までに報告のあるmHAは欧米で頻度の高いHLA-A'0201等に拘束されるものが大部分で, 日本人に多いA'2402に拘束されるmHAの報告はほとんどない. 今回我々はA'2402導入B-LCLパネルとIFN-γ産生を指標として, A'2402に拘束されるmHAを認識するCTLを樹立し, 標的mHAを発現している組織の特異性を解析したので報告する. (方法)移植後の患者末梢血を移植前の単核球細...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 146
Main Authors 赤塚美樹, 近藤英生, 田地浩史, 鬼塚真仁, 寺倉精太郎, 森島泰雄, 小寺良尚, 高橋利忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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ISSN0546-1448

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Summary:(目的)血液系細胞に特異的なマイナー組織適合抗原(mHA)は, HLA一致同種移植後の造血器腫瘍に対する移植片対腫瘍(GVT)効果の標的抗原として有用である. 現在までに報告のあるmHAは欧米で頻度の高いHLA-A'0201等に拘束されるものが大部分で, 日本人に多いA'2402に拘束されるmHAの報告はほとんどない. 今回我々はA'2402導入B-LCLパネルとIFN-γ産生を指標として, A'2402に拘束されるmHAを認識するCTLを樹立し, 標的mHAを発現している組織の特異性を解析したので報告する. (方法)移植後の患者末梢血を移植前の単核球細胞で複数回刺激することでCTLラインを作成した. 一方で, 12種類のA'2402をもたないB-LCLにA'2402cDNAをそれぞれ導入して, non-transfectantとtransfectantから成る刺激細胞のパネルを作成した. このパネルとCTLラインをELISPOT用のプレートで共培養し, IFN-γの産生能を測定した. 次に有意なIFN-γの誘導を示したA'2402導入細胞を刺激細胞として, IFN-γ secretion assayを行い, IFN-γを分泌する細胞をポジティブセレクションで集め, クローニングした. (結果)以上の方法でHLA-A'2402に拘束されるmHAを認識するCTLクローンを3種類樹立した. 急性骨髄性白血病の1症例から樹立した2種類のクローンは, 患者の血液系細胞ならびに自己の白血病細胞を傷害し, GVT効果を利用する養子免疫療法への応用性のあるmHAを認識していると考えられた. 現在さらに多数のクローンを樹立し, 組織特異性を検討している.
ISSN:0546-1448