O-017 HPA-6b抗体が血小板輸血不応状態に関与したと考えられる症例

はじめに:HPA-6b抗体は, 1993年カナダとフィンランドにおいて, 新生児血小板減少児からはじめて検出された抗体である. 日本人の6b抗原の頻度は約4%と低く, 血小板輸血不応状態の原因抗体としての報告はない. しかし今回, 輸血効果の経過観察により血小板輸血不応状態に抗HPA-6bが関与したと考えられる症例を経験したので報告する. 症例:患者は49歳, 女性. B型 Rh(D)陽性で過去3回の妊娠歴をもつ. 病名はMDS. HLAタイプは, A(2,24)B(7,75)C(w7,w9)であった. 1999年9月貧血等によりMAP及びPCを輸血. 同年11月, HLA抗体産生のためPC-...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 135
Main Authors 岩本通子, 市村和子, 嶋裕子, 谷上純子, 福森泰雄, 柴田洋一, 林孝昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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ISSN0546-1448

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Summary:はじめに:HPA-6b抗体は, 1993年カナダとフィンランドにおいて, 新生児血小板減少児からはじめて検出された抗体である. 日本人の6b抗原の頻度は約4%と低く, 血小板輸血不応状態の原因抗体としての報告はない. しかし今回, 輸血効果の経過観察により血小板輸血不応状態に抗HPA-6bが関与したと考えられる症例を経験したので報告する. 症例:患者は49歳, 女性. B型 Rh(D)陽性で過去3回の妊娠歴をもつ. 病名はMDS. HLAタイプは, A(2,24)B(7,75)C(w7,w9)であった. 1999年9月貧血等によりMAP及びPCを輸血. 同年11月, HLA抗体産生のためPC-HLA輸血を開始. 赤血球抗体抗E検出(2000年5月). 成績:1999年11月, 患者血清とパネルリンパ球30例との反応は, 23例に陽性反応を示した(LCT法, AHG-LCT法). 以後53回の許容抗原を含むPC-HLAの輸血を受け, その結果, 新たなHLA抗体の産生により, 2000年12月11日からは完全マッチのPC-HLAのみで輸血効果を認め, 患者のタイプ以外の許容抗原を含むPC-HLAでは効果を認めなかった. 2001年3月25日以降は, それまで輸血効果を認めていた2名のドナーにもCCIが0~0.6と血小板輸血不応状態となった. 精査の結果, 血小板特異抗体の存在が判明し, 抗HPA-6bの特異性を示した. 患者はHPA-6(a+b-)で, 血小板輸血不応状態となった献血者2名は, HPA-6(a+b+)であった. まとめ:本症例は, 2001年1月頃までHPA-6(a+b+)である2名の献血者から得られたPCにCCI 2.0~2.5と輸血効果を認めていたことから, その後の輸血不応状態は, 頻回輸血により産生した抗HPA-6bが原因と推定される.
ISSN:0546-1448