O-016 同胞に発症したHPA-3a抗体が疑われる新生児血小板減少症と紫斑病
(はじめに)母児間のHPA-3a不適合が原因で起こる新生児血小板減少性紫斑病(:以下NAITP)は, 出生時における一過性の出血傾向に止まらず, 脳内出血や中枢神経障害などの重篤な後遺症を残す. 今回, 我々は第2子(妹)において重篤な症例を経験したので報告する. (方法)HPAの型判定にはHPA genotype ELMAを用いた. HLA抗体の検出はLCTとAHG-LCTを用いた. HPA抗体の検出にはMPHAを用いた. (症例兄)BW2,745g自然分娩で出生. 紫斑の有無は不明. ミルク哺乳時における吐乳を主訴として外来受診. 血小板数0.9万/μL以下. 頭部CT異常なし. PA-I...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 134 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2002
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | (はじめに)母児間のHPA-3a不適合が原因で起こる新生児血小板減少性紫斑病(:以下NAITP)は, 出生時における一過性の出血傾向に止まらず, 脳内出血や中枢神経障害などの重篤な後遺症を残す. 今回, 我々は第2子(妹)において重篤な症例を経験したので報告する. (方法)HPAの型判定にはHPA genotype ELMAを用いた. HLA抗体の検出はLCTとAHG-LCTを用いた. HPA抗体の検出にはMPHAを用いた. (症例兄)BW2,745g自然分娩で出生. 紫斑の有無は不明. ミルク哺乳時における吐乳を主訴として外来受診. 血小板数0.9万/μL以下. 頭部CT異常なし. PA-IgG高値によりITPと診断. 無治療にて経過観察. 10日後血小板数は10.6万/μLまで回復しその後退院. (症例妹)BW2,865g自然分娩で出生. 出生時顔から胸部にかけて点状出血. 血小板数2.5万/μL. 頭部CTで右前頭葉上部と左後頭葉にhigh density areaと周囲にlow density areaを認め, 他院から紹介入院となる. γグロブリンを500mg/kg/day 5日間投与にて治療. しかし, 患児は脳内出血が原因で, リハビリ入園と神経外来の受診を余儀なくされた. (結果)1)父親リンパ球と母親血清との反応:HLA抗体(LCTで64倍, AHG-LCTで256倍以上). 2)父親血小板と母親血清との反応:母親血清中に存在するHLA抗体をプールリンパ球で吸収した. 父親血小板(クロロキン処理)と吸収後の母親血清との反応はMPHAで160倍以上を示した. 特異性は血小板12パネルでHPA-3a抗体であることが確認された. (考察)NAITPの既往のある母親では, 同種免疫検査を含めた妊娠, 出産の管理が極めて重要である. 父親がHPA-3(a+b-)であることから, 以降の妊娠, 出産にも当然NAITPの危険が伴うため, この母親が第3子を妊娠した場合, 十分な妊娠中の管理が必要と思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |