O-004 新設病院における電子カルテシステムに対応した輸血システムの構築

当院は平成13年4月に開院した新設病院であり, その開院計画の柱のひとつとして患者情報の一元管理を目指してペーパーレスおよびフイルムレスを可能とした電子カルテシステムを導入することになり, 輸血システムもこれに対応したものが要求されることになった. (開院準備)電子カルテシステム(HOPE/EGMAIN-EX:富士通)は約800台の端末が接続し, 院内どこでもカルテの閲覧, 各種オーダー登録を可能にした. 輸血関連入力項目は, 検体検査, 血液製剤依頼, 自己血採血依頼, 患者認証, 輸血実施入力などが電子カルテで行えるよう設定した. これらの機能は昭和大学病院の輸血に関する運用ルールを基本に...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 128
Main Authors 片平英一, 矢澤直行, 木村聡, 小塚和人, 石井規子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:当院は平成13年4月に開院した新設病院であり, その開院計画の柱のひとつとして患者情報の一元管理を目指してペーパーレスおよびフイルムレスを可能とした電子カルテシステムを導入することになり, 輸血システムもこれに対応したものが要求されることになった. (開院準備)電子カルテシステム(HOPE/EGMAIN-EX:富士通)は約800台の端末が接続し, 院内どこでもカルテの閲覧, 各種オーダー登録を可能にした. 輸血関連入力項目は, 検体検査, 血液製剤依頼, 自己血採血依頼, 患者認証, 輸血実施入力などが電子カルテで行えるよう設定した. これらの機能は昭和大学病院の輸血に関する運用ルールを基本にして, 医師, 輸血担当技師, システムエンジニアが運用を想定しながら打合せを繰り返し, 簡略でかつ必要な情報が伝達できるよう各種機能を設定した. 受け側の輸血システム(OLCOS輸血システム:オリンパス)は輸血検査および血液製剤管理の2系統の業務処理を行う部門サーバーを採用した. 主な機能として輸血関連, 製剤関連, 血液型, 統計などの各メニューに分かれており, 電子カルテよりオーダー情報を受け取り, 検査結果ならびに払出し情報を送信する. また, 使用記録を受信し輸血歴の保存も行う. これらの機能は電子カルテに大部分が対応可能であったが, 一部改造が必要な部分もあった. 大部分の輸血業務は両システムで処理可能であったが, 輸血特有の非定型業務は運用でカバーせざるを得なかった. (運用開始)電子カルテの輸血運用は順調に稼動しており, 安全な輸血や業務の合理化に寄与している. なかでも最大のメリットはカルテの閲覧が可能なことで, 輸血依頼の背景が検査室でも確認できるようになった. デメリットとしては, オーダーが入力されない限り輸血システム内では何も処理することができず, 緊急輸血の対処を困難にしていることなどがある. 設計時には想定し得ないような事例もあり, 随時これらの改良作業が必要であり, システムの熟成には時間が必要である.
ISSN:0546-1448