骨髄異形成症候群(MDS), 白血病におけるCXCR4の発現

骨髄ストローマ細胞由来の因子又は, マウスのpre-B細胞の増殖刺激因子としてクローニングされたSDF-1(Storomal cell derived factor-1)/PBSF(pre-B cell growth-stimulating factor)と, その受容体であるCXCR4が造血細胞の分化・増殖に関与している. 今回我々は, MDSや白血病における, CXCR4の発現と臨床病態との関連性について検討した. 対象・方法:MDS(11例), 白血病(急性9例, 慢性2例), リンパ腫(1例)患者より得た単核球を抗CXCR4抗体(44717.111)と抗CD34抗体(HPCA-2)で2...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; p. 586
Main Authors 栗田絵美, 増田利恵, 平岡朝子, 谷廣ミサヱ, 藤井輝久, 原田結花, 高田昇, 木村昭郎, 原田浩徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2000
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Summary:骨髄ストローマ細胞由来の因子又は, マウスのpre-B細胞の増殖刺激因子としてクローニングされたSDF-1(Storomal cell derived factor-1)/PBSF(pre-B cell growth-stimulating factor)と, その受容体であるCXCR4が造血細胞の分化・増殖に関与している. 今回我々は, MDSや白血病における, CXCR4の発現と臨床病態との関連性について検討した. 対象・方法:MDS(11例), 白血病(急性9例, 慢性2例), リンパ腫(1例)患者より得た単核球を抗CXCR4抗体(44717.111)と抗CD34抗体(HPCA-2)で2-color染色しFCMにて解析した. 結果:正常骨髄においてCD34陽性細胞はCXCR4を発現していた. 一方, MDSのRAEB-tでは, CD34陽性分画において, 明らかにCXCR4の発現が低下していた. また急性骨髄性白血病(AML)では, MO(1例)においてのみ発現が低下していた. 考察:MDSは多能性幹細胞のクローナルな異常であり, 治療に対して難反応性である. MDS-RAEB-tや未分化型AMLMOの芽球は, CXCR4の発現が低下しており, 未分化な幹細胞レベルでの異常を示唆するものといえる. 未分化な白血病細胞ではCXCR4の発現が低下していることから, MDSや白血病細分類の一助となるものと考えられる.
ISSN:0546-1448