全血処理型白血球除去フィルタークローズドバッグシステム(セパセルインテグラMAP)を用いた血液製剤の調製と長期保存試験

輸血用血液中の白血球は, 受血者に輸注されることによって非溶血性発熱反応(NHFTR), 同種抗原感作, ウイルス感染などの副作用の原因となる1). さらに, 赤血球製剤の保存中に白血球が蛋白分解酵素や活性酸素を放出することによって赤血球膜蛋白質の分解を生じたり2), 凝集塊の発生原因となるなど様々な悪影響を及ぼすことが知られている3)4). そのため, 白血球除去に関する多くの検討が行われ, 白血球を除去するタイミングとしては, 輸血時ではなく採血後の保存前に行うこと(保存前白血球除去, prestorage leukocyte reduction)が, 輸血副作用の防止や輸血用血液の保存中...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 521 - 531
Main Authors 秋野光明, 山本定光, 才川聡, 佐藤雅子, 瀬川紀美子, 小林健次, 池淵研二, 池田久實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2000
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Summary:輸血用血液中の白血球は, 受血者に輸注されることによって非溶血性発熱反応(NHFTR), 同種抗原感作, ウイルス感染などの副作用の原因となる1). さらに, 赤血球製剤の保存中に白血球が蛋白分解酵素や活性酸素を放出することによって赤血球膜蛋白質の分解を生じたり2), 凝集塊の発生原因となるなど様々な悪影響を及ぼすことが知られている3)4). そのため, 白血球除去に関する多くの検討が行われ, 白血球を除去するタイミングとしては, 輸血時ではなく採血後の保存前に行うこと(保存前白血球除去, prestorage leukocyte reduction)が, 輸血副作用の防止や輸血用血液の保存中に生じる障害の予防, さらに品質管理の点からも効果的であるとされている5). その手段としては, フィルターを用いる方法や遠心分離によりバフィーコート層を除去する方法がある. しかし, バフィーコート層を除く操作だけでは1log以下の白血球除去率しか得られず, その臨床的意義は乏しく, 欧米においては既に採血回路中に数logの白血球除去率を有する全血用白血球除去フィルターを組み込んだバッグシステムが実用化されている6).
ISSN:0546-1448