HIVカウンセラーからみた献血時問診への助言

全国の赤十字血液センターは, 献血時のHIV抗体検査でHIV感染が判明した場合, 献血者本人には通知しないことを建前としてきた. しがし, 実際には全国のHIV専門カウンセラーは全国各地の赤十字血液センターで感染告知を受けた感染者と出会うことは少なくない. しかも, 建前とは異なる赤十字血液センターでの告知は, 感染者にとって寝耳に水であったり, 医師による非難叱責を伴うために, 心理的損傷を与え, その後の医療機関における医師一患者関係に悪影響を及ぼす例もあった. 「献血者本人への通知すべきである」という方針転換が議論されているなかで, 質の高い告知を視野に入れた献血前後カウンセリングを検討...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 137
Main Author 兒玉憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1998
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Summary:全国の赤十字血液センターは, 献血時のHIV抗体検査でHIV感染が判明した場合, 献血者本人には通知しないことを建前としてきた. しがし, 実際には全国のHIV専門カウンセラーは全国各地の赤十字血液センターで感染告知を受けた感染者と出会うことは少なくない. しかも, 建前とは異なる赤十字血液センターでの告知は, 感染者にとって寝耳に水であったり, 医師による非難叱責を伴うために, 心理的損傷を与え, その後の医療機関における医師一患者関係に悪影響を及ぼす例もあった. 「献血者本人への通知すべきである」という方針転換が議論されているなかで, 質の高い告知を視野に入れた献血前後カウンセリングを検討する必要があると思われる. 当日は, 赤十字血液センターで告知された感染者の実態を踏まえて献血前問診票への提言を試みる.
ISSN:0546-1448